2000 Fiscal Year Annual Research Report
多元的な意味・価値空間の構築を可能にする社会システムのデザイン-グローバル情報時代における意味処理の中間単位の構築にむけて-
Project/Area Number |
12410054
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
渡邊 慶子 (中山 慶子) 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (20167117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 弘 京都大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (60192655)
奥田 栄 人間環境大学, 人間環境学部, 教授 (10160805)
渡辺 秀樹 慶応義塾大学, 文学部, 教授 (30114721)
徳安 彰 法政大学, 社会学部, 教授 (30188742)
谷本 寛治 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (30188388)
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Keywords | 中間組織 / NPO / 多元的評価 / 社会的付加価値 / システム理論 |
Research Abstract |
中間組織としてのネットワークやボランティア組織は、近年様々な方法でその活動の支援を受けている。他方で中間組織そのものの非営利事業や企業との連携も様々に行われている。 だがNPOのような非営利組織の支援に関しても適切な評価メカニズムがなければ、公益法人や第三セクターの一部が陥ったような問題が生じない保証はない。その意味でNPOに対しても株式会社の場合と同様に、情報開示と監査、或は組織のガバナンスが重要となる。他方で組織の監査が監督官庁によって可能となる部分は限定される。今後多彩なNPOが社会的付加価値形成活動に参与するようになれば、その評価や選択、資源配分のメカニズム自体が多元化する必要がある。 そのためには、米国のNPOに対する新しい取り組みを分析すると同時に、中間組織に対する多元的な評価と選択、資源配分のメカニズムを社会的回路としてデザインする必要がある。例えば地方税の一定割合を地域のNPOを選択してドネーションの形に転換するドネーション税制のような制度を導入することもその一つの可能性であろう。或は組織の発行するコミュニティキャッシュのような枠組みをこれに用いることも可能である。或は評価とファンディングの機関そのものを多元化して、複数のファンディング機関そのものがその成果を競う枠組みを導入することもできる。 我々は本研究で中間組織を支援するための枠組みについて、システム論的な立場から評価と選択、資源配分の問題を検討した。NPOやボランティア組織を単にミッション指向の組織として捉えるだけではなく、組織そのものの評価と競争、資源配分の動的メカニズムを可能とする支援のプラットフォームが構成される必要がある。そのためにはドネーション税制と、多元的評価機関の組み合わせによる支援アプローチなどの、評価と選択、資源配分のための社会的回路としたシステムを構築することの重要性を指摘した。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] 出口弘: "複雑性のシステム理論とエージェント指向アプローチ-マルチディシプリナリ領域での科学革命-"社会・経済システム. Vol.19. 69-78 (2000)
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[Publications] 出口弘,小澤正直: "集合論的不確定指示子による理論間関係の論理分析"科学基礎論研究. Vol.95. 23-29 (2000)
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[Publications] 出口弘: "社会科学におけるエージェントベースアプローチ-その現状と課題"コンピュータソフトウェア. Vol.17 No.5. 11-17 (2000)
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[Publications] 出口弘: "組織理論におけるエージェントベースアプローチ"組織科学. 第34巻2号. 11-22 (2000)
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[Publications] 出口弘: "中小企業のものづくりとIT革命"商工金融. 11月号. (2000)
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[Publications] L.Pichl,H.Deguchi and H.Nakamura: "The Uncertainty Factor and Its Quantification"AIM Atlantic City. 998-1001 (2000)
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[Publications] L.Pichl,H.Nakamura and H.Deguchi: "Nonadiabatic Transitions in Economic Systems"AIM Atlantic City. 1002-1004 (2000)
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[Publications] 谷本寛治: "社会的に責任ある企業像を求めて"企業と社会委員会 米国調査団報告書. (2000)
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[Publications] 谷本寛治: "社会的企業家精神と企業・NPO"社会的起業家研究会レポート. (2000)
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[Publications] 谷本寛治: "社会的企業家精神と企業・NPO"「社会的起業家」研究会報告書. (2001)
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[Publications] 谷本寛治: "もう一つの企業格付け-株主価値最大化だけでは済まない企業の社会的評価-"週刊エコノミスト. 1月30日号. (2001)
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[Publications] 谷本寛治: "企業の社会貢献活動の新しいあり方"企業における現代的課題に対応した社会貢献活動についての調査・研究. (2001)
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[Publications] 徳安彰: "社会システム理論の現在"社会・経済システム. Vol.19. 18-27 (2000)
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[Publications] 出口弘: "複雑系としての経済学-自律的エージェント集団の科学としての経済学を目指して"日科技連出版. 506 (2000)