2000 Fiscal Year Annual Research Report
現地調査の方法による中世村落・民衆像の再検討-地名資料の収集、可視化と科学的分析
Project/Area Number |
12410090
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
服部 英雄 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (60107521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春田 直紀 熊本大学, 教育学部, 助教授 (80295112)
榎原 雅治 東京大学, 史料編纂所, 助教授 (40160379)
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Keywords | 交通 / 旦過 / 牛馬 / 橋寺 / 紀伊国和田庄 / 伊予国宗昌寺領 / 阿蘇社領湯浦郷 / 荘園 |
Research Abstract |
分担者、協力者と各地の現地調査を行った。協力者は愛媛県歴史文化博物館土居聡朋、東昇、新南陽高校金谷匡人ら中近世史研究者合計6名である。 1交通関係の遺跡・文献・地名を調査した。まず旦過について愛媛県分(遍路道関係)、北九州分(大分県・福岡県)、また中部・関西地域(長野県、滋賀県、兵庫県)を実地踏査し、交通・市場・寺院・温泉と宿泊所旦過との関係を明らかにした。あわせ愛媛県立図書館文書など文献の精査も行った。寺院の関係では禅宗寺院との関係が深いが、かならずしもそれには限定されず、熊野修験や高野山(大師信仰)との関係も確認できる。また山間の相良道(熊本県)や鎌倉街道(長野県)について、輸送・運搬手段である牛馬の通行の可能性との観点で古道を調査し、確認した。また橋についても勧進体制との関わりで、肥前佐賀郡橋寺ほか山城の宇治・上狛の橋寺と呼ばれる寺院を調査・考察した。 荘園関係では紀伊国和田庄、伊予宗昌寺領、阿蘇社領湯浦郷などの現地および文献調査を行った。前者は和歌山市立博物館所蔵林文書の実見調査および現地調査である。同文書は荘園政所家に残った伝来的には珍しい文書であり、今後検注帳の分析と並行して、現地の地名や水利を継続的に調査する。阿蘇では(1)水田、(2)山野、(3)共同体、(4)祭礼・年中行事、(5)近世の文書・絵図を対象とした調査を行った。収集データの一部(地名一覧・土地情報など)はデータベース化しつつある。ほか焼畑(コバ)のむらであった熊本県球磨郡の万江、皆越地区での調査を行って、コバサクによる自給のほか、炭や木材など都市との交流による供給ルートを確認した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 春田直紀 ほか: "アジア・モンスーン気候の中に位置する琵琶湖の環境史"エコフロンティア. 4. 2-13 (2000)
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[Publications] 春田直紀: "「海の根」の話を聞きに行く"くまもと歴史と教育. 37. 2-3 (2000)
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[Publications] 服部英雄: "地名の歴史学"角川書店. 244 (2000)
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[Publications] 榎原雅治: "日本中世地域社会の構造"校倉書房. 492 (2000)