2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12440077
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本堂 武夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60109494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深澤 倫子 科学技術振興事業団, 領域研究者
堀 彰 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (60280856)
成田 英器 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20001662)
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Keywords | 氷床コア / 結晶構造 / プロトン配置 / X線回折 / 氷結晶 / 秩序無秩序転移 |
Research Abstract |
本研究の目的は、南極深層部の氷が実験室の氷と本質的に異なる結晶構造をもつのか、という物性物理学上の基本的な問題を解決することにある。 昨年度の研究で、X線回折曲線の幅が、南極氷の方が実験室氷よりも1桁以上大きいこと、すなわち氷結晶の完全性に大きな違いがあること、および格子定数には大きな相違はないことを明らかにした。同時に、南極氷の組織(結晶粒径、結晶方位、小角粒界、気泡、ハイドレート等々の分布)や氷結晶の完全性がきわめて不均一で測定場所に大きく依存することも明らかになった。そこで、今年度は、液体窒素温度で氷試料をすりつぶして微粉末にして、X線粉末回折測定を行った。このことによって、測定場所に依存しないデータ収集を可能にした。 X線粉末回折曲線には、南極氷と実験室氷では明瞭な違いがあり、同じ南極氷でも深度によって違うことが明らかになった。回折ピークの位置はほとんど変わらず、ピーク強度およびバックグラウンド曲線に大きな差異が認められた。このことは、結晶の対称性(空間群)や格子サイズは変わらず、ユニットセル内の原子位置に相違があることを意味している。また、いずれの試料でも、プロトン秩序相XIに特有な回折ピークはみつかっておらず、プロトン秩序化の兆候は認められない。 現在、リートベルト解析を進めているが、O原子およびH原子の座標精密化によって、結晶構造の相違を明らかにできると考えている。次年度は、これと並行して、南極氷の組織解析を進めることによって、初期の目的を達成する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A.N.Salamatin et al.: "Kinetics of air-hydrate nucleation in polar ice sheets"J. Crystal Growth. 223. 285-305 (2001)
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[Publications] T.Ikeda-Fukazawa et al.: "Variation in N2/O2 ratio of occluded air in Dome Fuji Antarctic ice"J. Geophys. Res.. 106,No.D16. 17,799-17,810 (2001)