2001 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ結晶組織材料の破壊現象に関する原子構造論的研究
Project/Area Number |
12450049
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北川 浩 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30029095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比嘉 吉一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20335368)
尾方 成信 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20273584)
中谷 彰宏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50252606)
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Keywords | ナノ多結晶材料 / 分子動力学法 / EAM / EMT / 逆Hall-Petchの関係 / 積層欠陥エネルギー / 拡張転位 / 粒界すべり変形調節機構 |
Research Abstract |
結晶粒をナノメートルオーダまで微細化したナノ多結晶材料は、結晶粒を構成する原子の数に対して粒界を構成する原子の割合が高く、その構造は不規則である上に十分に構造緩和しておらず準平衡な状態にある。本研究では、ナノ結晶材料の強度を律している一般的な動的組織要因を明らかにする目的で、原子モデルを用いた大規模コンピュータ・シミュレーションを実施して、つぎのような結果を得た。 (1)材料強度が粒径の減少に伴って低下する、結晶粒微細化に伴う軟化現象(逆Hall-Petchの関係)が見出される.この関係は、強さと欠陥体積率の関係として整理することができ、ナノ多結晶材料の強度は粒界領域で生じる原子構造変化により律される。 (2)結晶粒径が非常に小さいナノ多結晶材料では,粒内に転位が安定して存在することは出来ず,Frank-Read源のような転位源を粒内に持つことはできない。しかし,積層欠陥エネルギーが低い材料では、拡張転位の幅と結晶粒径が同じスケールとなり、結晶すべりは部分転位のみで生じて、粒内を貫く形で積層欠陥が形成される。 (3)粒内の積層欠焔の形成による構造的異方性が、ひずみ硬化、繰り返し硬化、および力学異方性を引き起こす。また、積層欠陥は、粒界部での変形のアコモデーション機構と連動して結晶粒変形の可逆的な要素となることが見出される。 (4)自由表面を有するナノ多結晶材料では、積層欠陥エネノレギーが大きい場合,粒界すべりにより局所変形が進行し粒界部で破断するが,積層欠陥エネルギーの小さと部分転位による結晶すべりが主となり,粒内に残存する積層欠陥により二次すべり系の活動が抑制されて,変形の局所化が抑制され材料全体の延性が向上する。 (5)アモルファス金属に局在化した変形が生じると、局所的な温度上昇によりアシストされた変形誘起再結晶が生じ、ナノサイズの結晶粒が生成される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 中谷彰宏, 北川浩, 下川智嗣: "分子動力学法によるナノ多結晶体の力学特性と引張荷重下における非弾性変形機構の検討"日本機械学会論文集, A編. 66・643. 435-441 (2000)
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[Publications] 松本龍介, 北川浩, 中谷敬子, 中谷彰宏: "アモルファス金属中を進展するき裂の分子動力学シミュレーション"日本機械学会論文集, A編. 67-653. 23-29 (2001)
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[Publications] 下川智嗣, 中谷彰宏, 北川浩: "ナノ多結晶体中の粒界の構造と力学特性に関する分子動力学法による研究"日本機械学会論文集, A編. (掲載予定). (2002)
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[Publications] Shimokawa, T., Nakatani, A., Kitagawa, H.: "Molecular Dynamics Simulation on Mechanical Properties and Internai Structures of Nano-Crystalline Materials under Different Loading Processes"Proceeding of Material Science for the 2lst Century. Vol.B. 281-284 (2001)
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[Publications] 下川智嗣, 中谷彰宏, 北川浩: "単軸引張りを受ける棒状ナノ多結晶体の局所くびれ発生機構の検討(EMT, EAMを用いた分子動力学シミュレーション)"日本機械学会講演論文集(第14回計算力学講演会). No.01-10. 411-412 (2001)
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[Publications] Matsumoto, R., Kitagawa, H., Nakatani, K., Nakatani, A.: "Large Scale MD study on Deformation Mechanism around Crack Tip in Amorphous Metal","Proceeding of Material Science for the 2lst Century. Vol.B. 277-280 (2001)