2000 Fiscal Year Annual Research Report
デサリネーションを施したコンクリート構造物の供用性に関する研究
Project/Area Number |
12450178
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮川 豊章 京都大学, 工学研究科, 教授 (80093318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 隆雄 徳島大学, 工学部, 講師 (20284309)
小林 孝一 中部大学, 工学部, 講師 (20283624)
服部 篤史 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30243067)
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Keywords | デサリネーション / 脱塩効果 / 片引試験 / 微小硬度 / 付着強度 / 鉄筋コンクリート / 曲げ試験 / ひび割れ分散性 |
Research Abstract |
(1)混入CL^-量が8.0kg/m^3の片引試験用供試体の鉄筋近傍セメントペースト部分の微小硬度分布を測定した結果、5.0A/m^2で8週間(6720Ah/m^2)の通電処理を行った供試体は鉄筋表面から5〜6mm程度の範囲でヴィッカース硬度が40以下の軟弱な層を形成していた。また、この層の厚さは積算電流密度が大きいほど大きくなっていた。このようなセメントペーストの軟化現象は、通電処理に伴い鉄筋近傍に集積するアルカリの影響で溶解性のケイ酸塩が生成されることに起因していると考えられる。 (2)片引試験において、通電処理を行った供試体は無通電供試体に比べて最大付着応力が減少した。この現象は微小硬度測定により観察された鉄筋近傍セメントペーストの軟化現象に起因していると考えられる。 (3)デサリネーション施工後、しばらく放置することで、最大付着応力比が回復した。これらは、気中静置に伴う供試体中の水分逸散に起因する現象であると考えられる。 (4)RCはりの静的曲げ載荷試験において、通電処理に伴う主筋とコンクリートとの付着強度の低下により、理想的なタイドアーチを形成した結果生じたと考えられる耐荷性状を示した。スパン中央部分に重ね継手を施した供試体は5.0A/m^2で8週間の通電処理により耐荷力が低下した。これは、重ね継手を持つ構造の耐荷力が定着部分よりも継手部分の鉄筋とコンクリートとの付着に依存していることによると考えられる。 (5)許容ひび割れ幅に対応して算定された鉄筋の応力状態において、無通電の供試体については、最大ひび割れ幅が許容ひび割れ幅以下であったが、5.0A/m^2で8週間の通電処理を施した場合には最大ひび割れ幅が許容ひび割れ幅を上回るものがあった。また、通電処理によりひび割れの本数が減少し、ひび割れ分散性の低下が確認された。
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