2000 Fiscal Year Annual Research Report
都市境界層における新しい乱流相似関数導出のための観測研究
Project/Area Number |
12450197
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
神田 学 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (90234161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 亮 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10302952)
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Keywords | 乱流輸送 / 都市境界層 / 物質拡散 / モニン-オブコフ相似則 |
Research Abstract |
低層住宅街の都市境界層における運動量・熱・水蒸気・CO2の連続観測に先だって、都市境界層内における乱流挙動の基本的特徴の把握と使用機材の性能試験を兼ねて、東京都大田区久が原の住宅街でクレーンを用いた予備観測を行った。都市境界層内の地表から25mにおいて、風速3成分と気温(超音波風速温度計)および水蒸気・CO2(赤外線式濃度計)の各物理量を8Hzでサンプリングした。その結果、(1)各物質濃度の変動標準偏差を各摩擦濃度で無次元化した量は物質によって特徴が異なること、(2)水蒸気に比べてCO2の輸送効率比は小さい傾向があること、またこの傾向には大気安定度依存性が認められ、主に低周波変動で水蒸気がより効率的に輸送されること、(3)物質の乱流輸送は3つのスケールに分離できそうであり、それぞれ(1)建物からの剥離渦、(2)組織渦、(3)境界層内の対流によると推測されること、などが明らかになった。また平成12年度末からは、同地域に鉄塔を利用して2高度(地上30mと20m)における長期連続観測を開始している。 今後、長期間に渡って取得された生データをスペクトル解析(FFT)し、慣性小領域におけるスペクトル勾配(5/3乗則)と異常なスペクトルピークをチェックすることにより、正常なデータ群を抽出する。様々な大気条件下における広い母集団データをもって、1時間を乱流統計時間として、風速・気温・水蒸気・CO2の、分散・消散率・シアー関数を算出し、これらが既存の相似関数と異なるメカニズムを熱流体力学的に考察し明らかにする。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 森脇亮,神田学,渡辺倫樹: "接地境界層における熱・水蒸気・二酸化炭素の乱流輸送の相似性について"土木学会水工学論文集. 45. 253-258 (2001)
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[Publications] 神田学,森脇亮,鈴木譲,マティアスロート,ティムオーク: "都市の接地境界層における乱流相似関数について"天気. 47. 493-501 (2000)
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[Publications] 神田学,森脇亮,鈴木譲,マティアスロート,ティムオーク: "住宅街の接地境界層における乱流フラックスの実測-シンチロメーターの利用-"天気. 47. 453-462 (2000)
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[Publications] 神田学,井上裕史,鵜野伊津志: ""環八雲"の数値シミュレーション"天気. 47. 83-96 (2000)
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[Publications] 神田学,石田知礼,大石哲: "首都圏における雷雨性集中豪雨とGPS可降水量の時空間変動 -1997年8月23日の集中豪雨の事例解析-"天気. 47. 7-15 (2000)
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[Publications] Ryo Moriwaki and Manabu Kanda: "A novel dual-scitillation method to estimate area-averaged turbulent fluxes over an dense urban surface."Proc.of the 3rd Regional Symposium on Infrastructure Development in Civil Engineering. 289-294. (2000)