2001 Fiscal Year Annual Research Report
都市境界層における新しい乱流相似関数導出のための観測研究
Project/Area Number |
12450197
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
神田 学 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (90234161)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 亮 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10302952)
|
Keywords | 乱流拡散 / 都市境界層 / スカラー輸送 / モニン-オブコフ相似則 / インバランス問題 |
Research Abstract |
2001年4月に大田区久が原の密集住宅街に30mの気象観測タワーを設置し、理想的な都市境界層における乱流・放射計測を行っており現在も進行中である。都市境界層での一年にわたる連続観測は世界にも例が無く、既に以下のような新しい知見が得られている。(1)都市-大気間における熱・水・CO2フラックスの長期変動を明らかにした。都市内植生の蒸散・光合成や都市材料からの蒸発の影響などが示唆された。(2)アルベド・蒸発パラメータ・熱輸送に対する流体力学的粗度など、ヒートアイランド予測に不可欠な陸面パラメータが同定された。(3)都市境界層にコンスタントフラックス層が存在することを実証した。(4)既存のモニン-オブコフ相似関数の多くが都市境界層では成り立たないことを示した上で、新たな相似関数を提案した。(5)熱・水蒸気・CO2それぞれの相対輸送効率を調べ、スカラー輸送の相似性が成立しないことを示した。熱・水蒸気・CO2順で輸送効率は向上する。熱がサーマル乱流を誘起するアクティブなスカラーであることに加え、地表面における濃度分布の空間的非一様性が異なることによるものであることウエーブレット解析で示した。また、近年タワー観測の空間代表性について議論となっているエネルギー収支のインバランス問題について、超並列計算機に対応したLESを用いて数値解析的手法により検討を加えた。風速・乱流平均化時間・観測高度などの諸条件がインバランスにもたらす影響を定量的に評価した上で、ハイパスフィルタリングにより点計測フラックスの空間代表性を向上させる新しい手法を提案した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] M.Kanda, R.Moriwaki, M.Roth, T.Oke: "Area-averaged sensible heat flux and a new method to determine zero-plane displacement length over an urban surface using scintillometry"Boundary-Layer Meteorology. (in Press). (2002)
-
[Publications] 神田学, 渡辺力, マルコスオリバー, レッツエル, ジークフリードラッシュ: "LESによるインバランス問題に対する検討(第1報)大気境界層スケールの対流構造の影響"水文水資源学会誌. (印刷中). (2002)
-
[Publications] 渡辺力, 神田学: "LESによるインバランス問題に対する検討(第2報)水平一様な植生キャノピー層を含む中立接地境界層における検討"水文水資源学会誌. (印刷中). (2002)
-
[Publications] 森脇 亮, 神田 学, 渡邊倫樹, 松永和章: "都市域の陸面パラメーターの算定"土木学会水工学論文集. 46. 91-96 (2002)
-
[Publications] 渡邊倫樹, 森脇 亮, 神田 学, 松永和章: "都市域におけるコンスタント・フラックス層の存在条件について"土木学会水工学論文集. 46. 79-84 (2002)
-
[Publications] 神田 学, 稲垣厚至, マルコスオリバー, レッツェル, ジークフリードラッシュ: "点計測乱流量の空間代表性に関する理論的検討-インバランス問題の物理的解釈-"土木学会水工学論文集. 46. 97-102 (2002)