2001 Fiscal Year Annual Research Report
感染特異的タンパク質による食品アレルギー感作(IgE産生誘導)機構の解明
Project/Area Number |
12460059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 正 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80027193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相原 茂夫 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20027197)
森山 達哉 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (60239704)
佐藤 文彦 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (10127087)
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Keywords | 食品素材 / 食品アレルギー / 食品アレルゲン / 感染特異的タンパク質 / 植物タンパク質 / アレルゲン性 / グリシニン / グルタチオン依存性アスコルビン酸還元酵素 |
Research Abstract |
植物性食品素材中のアレルゲンの多くが、植物界の免疫機構と呼ばれる感染時に誘導される感染特異的タンパク質(PR-P)であることから、そのIgE産生誘導機構について解析することを目的とし、先ずアレルゲンタンパク分子の性質の同定とその性質の解明を企画した。 植物性食品素材に陽性を示す食物アレルギー患者の血清の提供を受け、食品素材抽出液中のアレルゲン(患者IgE結合性タンパク質)のスクリーニングを実施した。大豆の摂取により、即時性アナフラキシーショック症状を呈する患者の血清中のIgE抗体が認識するタンパク質成分を特定し、単離・精製した後、N-末端アミノ酸配列分析により得られたシーケンスの情報をコンピューターによるホモロジー検索の結果、11S-グロブリン画分のコングリシンの酸性サブユニット成分の一つであるA3サブユニットに帰属した。日本人における本タンパク質成分がアレルゲンとして検出される割合は非常に低く、大豆アレルギー患者中約1%前後と考えられる。 一方、複数の植物性食品素材に反応するアトピー性皮膚炎患者の血清を用いたスクリニングにより、ジャガイモ24kDaタンパク質成分をアレルゲンとして特定し、単離・精製後N-末端アミノ酸配列分析の結果を元に検索の結果、グルタチオン依存性アスコルビン酸還元酵素(glutathione-dependent ascorbate reductase : GDAH)と同定した。本患者血清はピーマンやリンゴにおける24kDa近辺のタンパク質を認識し、これらは同じくGDAHと考えられた。単離したジャガイモのGDAHは、それぞれの24kDaタンパク質と患者血清のIgE抗体との反応を強く阻害した。また、逆にリンゴの抽出液はジャガイモのGDAHと血清の反応を阻害し、共に交差反応することを立証した。従って、この植物界に広く分布するGDAHは、植物性食品素材のおける共通アレルゲン(Panallergen)として挙動することが予想された。ちなみに、GDAHは植物界において感染誘導性のPR-Pとして報告されている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] C.Fujita, T.Moriyama, T.Ogawa: "Identification of cyclophilin as an IgE-binding protein in carrot"Int. Arch. Allergy Immunol.. 125・1. 44-50 (2001)
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[Publications] S.Arai, T.Osawa, H.Ohigashi, M.Yoshikawa, S.Kaminogawa, M.Watanabe, T.Ogawa, K.Okubo, S.Watanabe, H.Nishino, K.Shinohara, T.Esashi, T.Hirahara: "A mainstay of functional food science in Japan -Histry, present status, and furture outlook"Biosci. Biotech. Biochem.. 65・1. 1-13 (2001)
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[Publications] 小川 正, 森山 達哉, 藤田 千鶴子, 富田 響子: "大豆たん白質糖作特異的IgE抗体の存在と植物性食品の交差反応性"大豆たん白研究. 4. 45-51 (2001)