2000 Fiscal Year Annual Research Report
Ancient DNA解析からみた日本在来犬の起源と分布に関する分子進化学的研究
Project/Area Number |
12460121
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
石黒 直隆 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (00109521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 則夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (30281877)
本郷 一美 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (20303919)
松井 章 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究官 (20157225)
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Keywords | ミトコンドリア / ハプロタイプ / 考古学 / DNA / PCR |
Research Abstract |
本研究は、縄文時代から中世にかけての遺跡より出土する古代犬の骨に残存する遺伝子を分離・増幅して古代犬を遺伝子面で復元し、現生犬から構築したデータベースと比較することにより日本在来犬の起源や変遷を遺伝的に明らかにするものである。本年度は北海道の遺跡から出土した古代犬について検討した。また、現生犬のデータベースを充実する為に400頭の犬より総DNAを分離後、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の塩基配列600bpを決定したので、その成績も合わせて報告する。 1)北海道犬の起源:北海道の遺跡からの犬骨の出土量は少なく、最も古いもので縄文時代中期のものが存在するが、残存遺伝子の分離には成功していない。一方、5世紀から11世紀にかけてのオホーツク文化期の遺跡からは形態的に特徴のある犬の骨が出土する。これまでの解析から、遺伝的に古い形質を有する犬であることが明らかとなっている。北海道内の18世紀の犬の試料を検索したかぎり、現在の北海道犬とほぼ同じ遺伝子型に属することから、近世アイヌが有していたアイヌ犬は、現在の北海道犬に近いことが明らかとなった。これまでの成績から、現在の北海道犬は、オホーツク文化時代も含め北方犬の影響は少なく、南方(本州)由来であることを強く示唆した。 2)現生犬のmtDNAのデータベースの充実:本年度は346頭の現生犬よりmtDNAのコントロール領域600塩基対を増幅し、現生犬のデータベースの再構築を行った。今回、塩基配列を決定した346頭の現生犬から64種のハプロタイプが検出された。系統解析の結果、今回決定した現生犬のハプロタイプは大きく4群に分類されて、これまでの成績を支持した。今回の成績は、現生犬のデータベースに加えて今後活用する予定である。
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Research Products
(1 results)