2001 Fiscal Year Annual Research Report
モデル生物を用いた免疫抑制薬感受性に関するゲノム薬理学的研究
Project/Area Number |
12470017
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久野 高義 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50144564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春藤 久人 神戸大学, 医学部, 助教授 (70206259)
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Keywords | カルシニューリン / 蛋白質燐酸化反応 / ミオシン重鎖 / 免疫抑制薬 / 分裂酵母 / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
本研究は、遺伝学および分子生物学的手法がフルに駆使できるモデル生物を用いて免疫抑制薬の副作用原因遺伝子候補を同定しようとするものである。分裂酵母のカルシニューリンは、免疫抑制薬によりその機能を抑制しても,野生株では生育には影響がない。免疫抑制薬の存在下において致死となる変異体(its変異体)を多数単離した。これらの変異遺伝子のコードする蛋白質は、生体にとって必須の機能をカルシニューリンと分かち合っている。これらの遺伝子のヒト相同遺伝子に何らかの変異がある場合、免疫抑制薬を投与し、カルシニューリンの機能を抑制すると、通常では認められないような副作用が引き起こされる可能性が高い。 本年度は,細胞形態形成においてカルシニューリンと機能的に関連する遺伝子として新たに2型ミオシンをコードする遺伝子myp2とrabファミリーに属するGTP結合蛋白質をコードする必須遺伝子ypt3を同定した。2型ミオシン遺伝子は生育に必須ではないが,変異を有すると著しい細胞形態以上を示す事およびクロライドイオンホメオスターシス異常をきたす事が明らかになり,さらに構成的活性型のカルシニューリンを発現させる事でこれらの表現型が改善し,カルシニューリン遺伝子破壊で増悪する事からカルシニューリンの下流で働いていることが示唆された。また,rabファミリー蛋白質は細胞内における輸送において重要な働きをしていることが知られており,本蛋白質をコードする遺伝子の変異により細胞質分裂異常が引き起こされた事や本研究により明らかにされた遺伝学的関係は,カルシニューリンが細胞内輸送の制御にかかわる可能性も示唆している。
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[Publications] 矢田朋子: "Fission veast homologue of Mcd4 and Pig-n, is involved GPI anchor synthesis and shares an essential function with calcineurin in cytokinesis"J. Biol. Chem.. 276. 13579-13586 (2001)
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[Publications] 杉浦麗子: "Molecular genetic analysis of the calcineurin signaling pathways"Cell. Mol. Life Sci.. 58. 278-288 (2001)
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[Publications] 籠田智美: "Downregulation of vascular soluble guanylate cyclase induced by high salt intake in spontaneously hypertensive rats"Br J Pharmacol. 134. 737-744 (2001)
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[Publications] 杉浦麗子: "細胞内シグナル伝達研究 フローチャートでみる先端バイオ研究の進め方"辻本豪三, 田中利男 共編(羊土社). 192 (2001)
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[Publications] 杉浦麗子: "シグナル伝達カスケードと分子シャペロン 分子シャペロンによる細胞機能制御"永田和宏, 森正敬, 吉田賢右 共編(シュプリンガー・フェアラーク東京). 220 (2001)