2002 Fiscal Year Annual Research Report
先天性肝線維症+カロリ病の病理学的,分子生物学的検討-動物モデルとの比較を中心に-
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12470044
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中沼 安二 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (10115256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 憲一 金沢大学, 医学系研究科, 講師 (30283112)
佐々木 素子 金沢大学, 医学系研究科, 講師 (70225895)
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Keywords | 先天性肝線維症 / カロリ病 / サイトケラチン20 / 上皮成長因子 / 細胞内シグナル伝達 / PCKラット / 細胞増殖 / 肝内胆管 |
Research Abstract |
先天性肝線維症(CHF)+カロリ病の病因・病態を検討している。今年度の研究により、以下の点が明らかにされた。1.CHF+カロリ病の肝内で増生・拡張している小型胆管には、胎生期の未熟な胆管上皮に発現することが知られているサイトケラチン(CK)20の異常な発現がみられた。動物モデルである多嚢胞腎ラット(PCKラット)の肝内増生・拡張胆管にも、未熟な胆管上皮の形質発現が見られた。2.正常肝や獲得性の胆道系疾患でみられる肝実質内のHering管が、CHF+カロリ病で殆どみられず、PCKラットでもHering管は殆どみられなかった。Hering管は、肝のステム細胞として注目されている。これらの事より、CHF+カロリ病とPCKラットの肝内胆管は、未熟な形質を有し、これが増生、拡張あるいは遺残に関係すると考えられた。この病的現象に、肝ステム細胞の成熟障害が関係している可能性がある。3.PCKラットの肝内胆管上皮細胞の細胞株を樹立した。この培養株では、上皮成長因子に対して増殖活性が異常に亢進していることが明らかとなった。EGFの受容体EGF-Rには異常を認めていない。受容体との結合後の細胞内シグナル伝達機構、特にMAPKカスケード亢進を示唆する成績を得つつある。現在、阻止実験や添加実験により検討している。今後、株化した胆管上皮をコラーゲンゲル内で立体的に培養し、嚢胞形成能や増殖能を検討し、細胞動態と増殖に関連する分子、遺伝子の発現を検討し、生体でみられる胆管病変の発生機構を明らかにしたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Sasaki, K.Katayanagi, K.Watanabe, Y.Nakanuma: "Intrahepatic cholangiocarcinoma arising in autosomal dominant polycystic kidney disease"Virchows Archiv. Jul;441(1). 98-100 (2002)
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[Publications] Y.Zen, K.Harada, M.Sasaki, K.Tsuneyama, Y.Nakanuma: "Lipopolysaccharaide induces indces overexpression of MUC2 and MUC5AC in cultured biliary epithelial cells : possible key phenomenon in hepatolithiasis"Am J. Pathol. Oct;161(4). 1475-1484 (2002)
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[Publications] 須藤 嘉子: "原発性胆汁性肝硬変にみられる肉芽腫性病変の病理学的,免疫病理学的検討-細菌成分の検出を中心に-"金沢大学十全医学会雑誌. 111(2). 121-129 (2002)