2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患の危険因子としてのミトコンドリアに蓄積するアルデヒド関連化合物の役割
Project/Area Number |
12470144
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
太田 成男 日本医科大学, 老人病研究所, 教授 (00125832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 郁朗 日本医科大学, 老人病研究所, 助手
金森 崇 日本医科大学, 老人病研究所, 助手 (30333115)
麻生 定光 日本医科大学, 老人病研究所, 助教授 (70167914)
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Keywords | ALDH2 / ミトコンドリア / トランスジェニックマウス / 活性酸素 / 老化 / 4-ヒドロキシノネナール / PC12 / アンチマイシンA |
Research Abstract |
ミトコンドリア型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の欠損型はアルツハイマー型老年痴呆の発症リスクであることを見い出した。アルデヒド化合物が神経組織を含む老化に対して促進的に関与すると考えられる。そこで、ALDH2酵素活性底下がもたらす影響を明らかにする目的でALDH2欠損マウスモデルを作成した。マウスALDH2cDNAに、ヒトALDH2^*2対立遺伝子に相当するコドン507にGlu(gaa)->Lys(aaa)となる変異を導入後、ベータアクチン遺伝子プロモーターに接続し、ドミナントネガティブマウスALDH2cDNA発現ベクターを作成した。このベクターを用いてALDH2欠損トランスジェニックマウスを作成した。欠損マウスは体重が軽く、メスは妊娠しにくいなどの表現型を示した。また、60週15%のマウスが死亡し、みかけ上白髪が多くなるなど老化が促進されているようであった。 ALDH2酵素が酸化ストレス防御機構の役割を果たしているという作業仮説に基づいて、活性酸素発生状況下でも培養細胞死機構について検討した。ALDH2酵素欠損型のPC12細胞は、4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)に依存して死滅しやくすくなった。また、アンチマイシンAによって活性酸素を放出させると4-HNEが細胞内で蓄積することを明らかにした。また、アンチマイシンAによって活性酸素を放出させるとALDH2酵素活性欠損型の細胞は死滅しやすくなった。 以上の結果は、活性酸素によって生成された4-HNEなどの毒性アルデヒドをALDH2が分解しており、その活性が低下することによって、細胞が死にやすくなることが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yasukawa, T., Suzuki, T., Ishii, N., Ohta, S., Watanabe, K.: "Wobble modification defect in tRNA disturbs codon-anticodon interaction in a mitochondrial disease"EMBO J. 20(17). 4794-4802 (2001)
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[Publications] Yasukawa, T., Suzuki, T., Ohta, S., Watanabe, K.: "Wobble modification defect suppresses translational activity of tRNAs with MERRF and MELAS mutations"Mitochondrion. (in press). (2002)
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[Publications] 太田成男: "アルツハイマー病の危険因子としてのアルデヒド脱水素酵素2遺伝子"Dementia Japan. 15(1). 40-46 (2001)
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[Publications] 太田成男: "ミトコンドリア異常とその意義"ALDH2遺伝子の関連解析. 40. 87-89 (2001)
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[Publications] 太田成男: "ミトコンドリアの多彩な機能-特集 ミトコンドリアと疾患-"内分泌・糖尿病科. 13(5). 427-438 (2001)
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[Publications] 大澤郁朗, 太田成男: "老化とミトコンドリア"Molecular Medicine. (印刷中). (2002)
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[Publications] 太田成男: "新ミトコンドリア学"ミトコンドリアRNAとタンパク質の合成. 5 (2001)