2002 Fiscal Year Annual Research Report
虚血膵における虚血再灌流傷害の機序の解明とその防止法およびviability評価表の開発に関する研究
Project/Area Number |
12470248
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Research Institution | TOKYO WOMEN'S MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
寺岡 慧 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20147383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場園 哲也 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70208718)
岩本 安彦 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60143434)
高桑 雄一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40113740)
中島 一朗 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80198077)
唐仁原 全 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80197847)
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Keywords | 虚血膵 / 赤血球 / 連銭形成 / 変形能 / 酸化的ストレス / 膜荷電 / 赤血球膜蛋白 / 赤血球脂質膜 |
Research Abstract |
膵虚血および虚血再灌流傷害と微小循環障害の機序について、赤血球の関与、とくに赤血球の連銭形成、赤血球の変形能、通過能の面から検討し、以下の知験を得た。 1. Ektacytometer法による赤血球、赤血球膜の変形能、膜安定性の検討 A群(健常対照群)、B群(非糖尿病透析患者)、C群(非腎不全糖尿病患者)、D群(糖尿病透析患者)の4群間において、Ektacytometerを用いたレーザー回折法により、全血、赤血球およびRed Ghostsの変形指数(deformability index : DI)を検討した。 (1)赤血球、赤血球膜の変形能の検討 全血ではB群のDIはA群と同等であったが、C群およびD群では低下する傾向を示した。赤血球のDIについてもB群はA群とほぼ同等であり、C群、D群では低下していた。しかしRed GhostsのDIについてに4群間で差は認められなかった。 (2)赤血球膜の安定性の検討 赤血球のRed Ghostsに一定のshear stress(750dyn/cm2)をかけ断片化を検討した。DIが0.5(50%)となるT50は、A群15.6±2.3sec、B群20.25±2.63sec、C群17.9±4.02sec、D群16.25±1.44secであり、むしろB、C群で赤血球膜の安定性に増加する傾向が認められた。 2. 連続減衰負圧式ニッケルメッシュフィルトレーションによる赤血球通過の検討 4群間で、赤血球希釈溶液に-50mmH20までの連続減衰負圧をかけ、径4μmのニッケルメッシュに対する通過能を検討した。Flow Rate-Pressure曲線はB、C、D群ではA群と比較して右にシフトしており、通過能の低下が認められ、とくにD群では低下が顕著であった。 3. SDS-PAGEによる赤血球膜蛋白の検討 上記の4群においてSDS-PAGE法により赤血球膜蛋白を検討したが、Spectrin、Band 3などの蛋白については4群間に差は認められなかった。 4. 赤血球の形態学的検討 4群の赤血球についてGiemsa染色により形態観察を行った結果、B、D群の一部に大小不同が認められたが、顕著な差は認められなかった。 5. 赤血球脂質膜の検討 赤血球浮遊液にannexin Vを添加し、染色後Flow cytometryでannexin染色性を観察した結果、D群において有意にannexin Vの染色性が増強し、脂質膜外層におけるphosphatydil-serine(PS)の表出が示唆された。 6.赤血球膜荷電の検討 4群における赤血球の膜荷電を、陽および陰イオン吸着樹脂に対する吸着性により検討した。D群において赤血球膜の陰性荷電が減少していた。 以上より膵腎複合移植の対象となる糖尿病透析患者では、赤血球の変形能は低下しており、脂質膜外層へのPSの表出が増強し、膜の陰性荷電は減少していた。Red Ghostsの変形能、膜安定性、赤血球の通過能に正常であり、さらに赤血球膜蛋白質にも異常は認められなかった。今後、種々の活性酸素による赤血球脂質膜および膜蛋白の酸化的修飾が、これらのパラメーターに対しいかなる変化を与えるかについて検討を加える予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yuishi Takakuwa: "Identification of a functional role for lipid asymmetry in biological membrances"Proc. Natl. Acad. Sci. 99. 1943-1948 (2002)
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[Publications] Yuishi Takakuwa: "Structural and functional characterization of 4.1 R-phosphatidylserine Interaction : protential role ine 4.1 R strong within cells"J. Biol. Chem. 276. 35778-35785 (2002)
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[Publications] Yuichi Takakuwa: "Regulation of erythrocyte ghost membrane mechanical stability by Chlorpromazine"Biochim. Biophys. Acta. 1512. 285-290 (2002)
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[Publications] S.Teraoka: "Assessment of Viability of Pancreas Transplantation from Non-Heart-Beating Cadaver"Transplant Proceedings. 22. 301-303 (1998)
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[Publications] 寺岡 慧: "心停止ドナーからの膵提供における適応基準とプロキュアメント法の開発(第36回日本移植学会総会)"第36回日本移植学会総会臨時号. 35(臨時). 125 (2000)