2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌によるアルギニン代謝とその病原性に対する役割
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12470461
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中村 亮 徳島大学, 歯学部, 教授 (30034169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田部 慎一 徳島大学, 歯学部, 助手 (40284301)
増田 かなめ 徳島大学, 歯学部, 助手 (30243710)
日野出 大輔 徳島大学, 歯学部, 助教授 (70189801)
嶋田 順子 徳島大学, 歯学部, 教務員 (10170945)
玉谷 香奈子 徳島大学, 歯学部, 助手 (40243711)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / 歯周病原性細菌 / アルギニン代謝 / アルギニンカルボキシペプチダーゼ / アルギニンデイミナーゼ経路 |
Research Abstract |
本年度はPorphyromonas gingivalisの生育へのエネルギー獲得面で役割を果たすことが考えられているアルギニンカルボキシペプチダーゼについて、本酵素の精製標品から分析したN-末端アミノ酸配列に基づいてペプチドを合成し、それに対する抗体を作製した。そこで抗体を利用して、本酵素の菌体内局在性を調べるため、菌体より細胞構成成分画分を調製した後、Western blotting法を行った。同時に分離した各々の画分中の総酵素活性量を求めた。また菌体を固定・包埋して、超薄切片を作製した後に抗体を反応させ、免疫電子顕微鏡法にて本酵素の局在性を観察した。これらの結果より、細胞質画分および外膜画分に同程度の総酵素活性量が認められ、免疫電子顕微鏡の観察では菌の膜と中に存在することが明らかとなった。 つづいて遊離されたアルギニンが、さらにATP産生に関与するアルギニンディミナーゼ経路で利用されることが重要であると考え、本経路に関与する3つの酵素活性について、菌体抽出液を用いて検索したところ、確認できたことからアルギニンデイミナーゼ経路の存在が証明された。本経路の最初の段階で働くアルギニンデイミナーゼについて、菌体内の局在性を調べたところ、大部分が細胞間質に存在し、内膜にも存在していた。 結果をまとめると、本菌のアルギニン代謝において、まずは、外膜に存在するアルギニンカルボキシペプチダーゼがペプチドからアルギニンを遊離させ、その後に、細胞間質に存在するアルギニンデイミナーゼがアルギニンに作用するアルギニンデイミナーゼ経路を通してATPのエネルギー獲得に作用しているものと示唆された。今後は、本経路のアルギニンデイミナーゼ以外の酵素について、局在性をクリアーにすることによって、より一層本菌のアルギニン代謝でのATPの獲得による菌の増殖が病原性を示すことを明らかにしていく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hinode Daisuke et al.: "Antigenic properties of the GroEL-like protein of Campyrobacter rectus"Oral Microbiol. Immunol. 17. 16-21 (2002)
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[Publications] Sugiyama Akiko et al.: "Activation of human gingival epithelian cells by cell-surface components of Black pigmented bacteria"J. Med. Microbiol.. 51. 27-33 (2002)
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[Publications] Kaname Masuda et al.: "Purification and Chacterization of Arginine Carboxypeptidase Produced by Porphyromonas gingivalis"Infection and Immunity. 70. 1807-1815 (2002)
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[Publications] Tanabe Shin-ichi et al.: "Hericobacter pylori and Campyrobacter rectus share a common antigen"Oral Microbiol. Immunol. 18(in press). (2003)