2001 Fiscal Year Annual Research Report
高知県柏島水域における海中生物の生物多様性の保全と活用:地域振興の視点から-生物学的・社会学的アプローチ-
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12480164
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
三浦 大介 高知大学, 人文学部, 助教授 (30294820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深見 公雄 高知大学, 農学部, 教授 (30181241)
山岡 耕作 高知大学, 農学部, 教授 (20200587)
新保 輝幸 高知大学, 人文学部, 助教授 (60274354)
友野 哲彦 神戸商科大学, 商経学部, 助教授 (00284422)
婁 小波 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (50247970)
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Keywords | 水質 / 微生物群集 / 魚類生態 / 魚類相 / 公の施設 / 大瀬崎 / 仮想状況評価法 / 仮想旅行評価法 |
Research Abstract |
自然科学的研究の概要 柏島周辺に設けた測点において、周年にわたって水質や微生物群集に関する調査を行った。その結果、同海域では基本的には貧栄養な環境であるものの、冬季には栄養塩濃度が、また夏季の底層付近では有機物濃度がそれぞれ増加する傾向が見られた。水質の変動は月齢や潮汐でも観察され、小潮の下げ潮時に栄養塩濃度や微生物の生物量が上昇することが分かった。以上の結果から、柏島周辺海域では基本的には貧栄養な黒潮の影響を受けているものの、短期的には富栄養な内湾水が流入することもあり、これらが同海域の豊かな生物群集を支えている可能性があることが示唆された。魚類生態については、後の浜西部にラインセンサス区を設定し、底質をごろた区、サンゴ区、死サンゴ区の3区に設定し、2001年9月と10月に調査を行った。その結果、9月には138種1924個体、10月には128種32195個体が観察された。この種数は、以布利の同時期の出現種数約70種のおよそ2倍に達し、柏島の魚類相の豊かさを証明する結果となった。3区の内では、サンゴ区で最多の種数が観察された。 社会科学的研究の概要 法律学からは昨年度に引きつづき、公物法の観点から検討を加えている。本年度は地方自治法244条の「公の施設」概念の考察を通して、海域管理のあり方を追究した。また、より具体的に、ダイビング事業者と漁民とのダイビングスポットをめぐる紛争について、静岡県大瀬崎の事件を参考に議論した。これによって、柏島において現に発生している諸問題の解決の糸口を得たものと思われる。 経済学的アプローチからの研究は、柏島水域の自然環境の価値を経済評価するために、仮想状況評価法(Contingent Valuation Method ; CVM)および仮想旅行費用法(CVM by Travel Cost ; CVM-TC)を適用した、柏島の自然環境等の享受者(及び潜在的享受者)に対するアンケート調査を現在実施中である。本年度は、事前調査とプレテスト、調査票の作成と配布まで行い、回収及び集計、分析は来年度に行う予定である。並行して、柏島におけるオンサイト調査の準備も行った。調査は、柏島への訪問客に対して個人トラベルコスト法等の手法を適用するものであり、現地におけるアンケート調査が基本になる。本年度は、当該調査の事前調査や、調査計画、調査票などの作成を行った。 シンポジウムの開催 本研究のこれまでの成果を地域に還兀する目的で、平成14年1月26日、高知大学において「土佐の海の環境学シンポジウム」を開催した。研究分担者婁小波の基調報告の後、パネリストとして橋本大二郎・高知県知事等を招き、高知の海の環境教育と環境行政について、大学と県の役割を、中心にパネル・ディスカッションを行った。
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Research Products
(2 results)