2001 Fiscal Year Annual Research Report
富栄養浅海域における生態系の復元-人工干潟現地実験場での環境と生物の動態-
Project/Area Number |
12480167
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
矢持 進 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30315973)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重松 孝昌 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80206086)
角野 昇八 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70047398)
小田 一紀 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60047230)
江口 充 近畿大学, 農学部・水産学科, 助教授 (40176764)
|
Keywords | 人工干潟 / 底生動物 / 海藻 / 底質 / 浄化能力 / 窒素収支 / 下水処理場 |
Research Abstract |
造成当初,阪南2区人工干潟現地実験場にはマクロベントスはほとんど生息していなかったが,次第に増加し,2000年9月から2001年9月までの1年間でその現存量は3.1倍増加した.浚渫土砂部と覆砂部を比較すると覆砂部の方が現存量が多いものの浚渫土砂部でも増加傾向がみられ,特にDL-1.0m付近で最も生物量が多かった.また,アオサなどの大型海藻類も2000年6月の造成当初はほとんど分布していなかったが,2001年10月には人工干潟現地実験場内での現存量はアナアオサが5422kg,オゴノリが2464kgに達していた. ボックスモデルにより干潟・浅海域内の窒素の生成・消失量を検討してみると、2000年9月はDTNとPNがそれぞれ3.9kg/dayと1.1kg/dayの生成となり、窒素が干潟・浅海域から排出されていたことが判明した。しかし,2001年9月には、底生動物量が増加するとともに大型海藻類が大量に繁茂したためか、DTNとPNがそれぞれ-3.5kg/dayと-1.1kg/dayの消失となり、窒素が干潟・浅海域に固定され、優れた浄化機能を持っていたことがわかった.優占海藻であるアナアオサとオゴノリの比成長速度μはそれぞれ最大0.2/day、0.07/dayと報告されている.また、アナアオサとオゴノリの窒素含量はそれぞれ31mgN/g dry,40mgN/g dryであった. これらの値と現存量から人工干潟現地実験場の1日当たりの窒素固定量を測定したところ1日あたりの固定量は4.5kgと0.86kgと試算された.これらの結果から、海藻によって大量のDTNが固定されたことが推察される.窒素収支から得られたPN除去量(2001年9月:1.07kg/day)と同程度の処理能力を持つ下水道の二次処理施設の建設費などを「標準活性汚泥法」の費用関数を用いて試算した.その結果ポンプ施設の建設費Cpが2314万円,維持管理費Mpが19万円,二次処理施設の建設費Csが1.8億円,維持管理費Msが256万円,用地面積Asが2013m^2となった.したがって,現地実験場と同様の機能を持つ下水処理施設は,建設費がCp+Cs=2.0億円,維持管理費がMp+Ms=275万円と推定することができた.
|
Research Products
(1 results)