2002 Fiscal Year Annual Research Report
脱気水中に溶存する極微量ラドンをリアルタイムに測定する装置の開発と研究
Project/Area Number |
12554007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 康雄 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (60272522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田阪 茂樹 岐阜大学, 教育学部, 教授 (60155059)
梶田 隆章 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (40185773)
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Keywords | ラドン / 静電捕集 / スーパーカミオカンデ / 太陽ニュートリノ / カミオカンデ / 中空糸 / フォトダイオード |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、脱気水中に溶存する極微量ラドンをリアルタィムに測定する装置はほぼ完成し、スーパーカミオカンデ(SK)タンク水中のラドン濃度は(1.9mBq/m^3(1シグマ)であることがわかった。今年度始めに、これまでの研究成果を論文にまとめてNIM A誌に投稿した。2002年10月現在、その論文は受理された。 しかし、本研究で開発中のラドン濃度測定装置はSKタンク水に比べるとバックグラウンドレベルが依然として高いことが昨年度までに判明した。そして、有為なバックグラウンド源の1つは、フォトダイオード用のセラミック基盤であることが確認された。そこで本研究では、昨年度末に新しい低バックグラウンドのPINフォトダイオードを試作した。今年度は、まずこのフォトダイオードがどの程度バックグラウンド削減に効果があるかを調べた。高感度ゲルマニウム検出器を用いて、ウラン238起源のガンマ線量をこれまでのフォトダイオードと新しい試作品とで比較した。その結果、ウラン238の含有量は約1/50に削減されていることがわかった。 また、検出器内の電場が最適化されていなかったため、今年度は電場シミュレーションを用いて700L検出器内の電場分布を調べた。その結果、検出器の一部を非導電性の物質に変更すると電場分布がより均一になることがわかった。そこで、700Lステンレス容器の一部をアクリルに変更した検出器を試作し、特性試験を行った。その結果、電場の最適化をする前と比較して空気中ラドンに対する検出効率が約2倍向上することがわかった。 今後は、電場の最適化をした容器と新フォトダイオードを用いたラドン濃度測定装置を構築し、特性および検出限界について研究を進めていく予定である。
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