2000 Fiscal Year Annual Research Report
フィチン酸金属錯体の生理活性および加水分解酵素による制御
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12554024
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小谷 明 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教授 (60143913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 清 扶桑薬品工業株式会社, 研究開発センター, 研究企画室室長
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Keywords | イノシトールポリリン酸 / フィチン酸 / リン酸エステル加水分解 / 安定度定数 / フィターゼ / 典型金属錯体 / 酵素反応速度 / スペシエーション |
Research Abstract |
本年度は1年目であり,フィチン酸金属錯体の溶液中での存在形態(pHおよび濃度依存性)の解明,フィチン酸加水分解酵素フィターゼ酵素活性の金属イオン依存性の調査,金属錯体の生理活性試験法の開発,等の基礎的知見を得た。 1.フィチン酸金属錯体の溶液中での存在形態解明 フィチン酸と,各種金属イオン(Na^+,K^+,Li^+,Mg^<2+>,Ca^<2+>,Mn^<2+>,Cu^<2+>,Zn^<2+>)との結合能をpH滴定により調べ,存在種と安定度定数を決定した。錯形成はすべての金属について錯体の電荷が-5になった時から始まっており,静電的な影響を大きく受けていることが判明した。また,M/L=3まで水溶性の単量体錯体を形成すること,大きな安定度定数を示すことも判明し,水溶液中で安定な金属錯体として存在することが明らかとなった。安定度定数の比較から錯体構造としてリン酸-金属-リン酸構造が推定され,P31-NMRからも支持された。 2.フィチン酸加水分解酵素フィターゼ酵素活性の金属イオン依存性 精製フィターゼを用いた反応速度は大きな金属イオン依存性を示し,フィターゼが金属錯体を基質とし,金属イオン活性化酵素であることが判明した.1項で確立されたフィチン酸金属錯体とその構造の情報を基に,反応基質の同定に成功した。 3.金属錯体の生理活性試験 抗癌作用を目的とした生理活性試験を行い,某研究所でのデータと同じ結果が得られることを確認し,生理活性試験の信頼性を確認した。予備実験では,生理活性が確認できた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tomoyuki Hirano: "Mechanism of Superoxide Dismutase-Like Activity of Fe (II) and Fe (III) Complex of Tetrakis-N, N, N', N' (2-pyridylmethyl) ethylenediamine"Chem.Pharm.Bull.. 48. 223-230 (2000)
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[Publications] Yuichi Shimazaki: "A Structural Model for Galactose Oxidase Active Site and Counteranion-Dependent Phenoxy Radical Formation by Disproportionation"Angew.Chem.Int.Ed.Engl.. 39. 1666-1669 (2000)
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[Publications] Waheeda J.Puspita: "Weak Interactions Involving Arginine Guanidinium Group in Cu (II) and P Complex Systems"Inorg.Reaction Mechanism. 2. 137-145 (2000)
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[Publications] Hideki Ohtsu: "Synthesis and Characterization of Imidazole-Bridged Dinuclear Complexes as Active Site Models of Cu Zn-SOD"J.Am.Chem.Soc.. 122(24). 5733-5741 (2000)