2000 Fiscal Year Annual Research Report
畜産系排水の高度処理をめざしたメンブレンエアレーション型浄化システムの開発
Project/Area Number |
12555219
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
常田 聡 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (30281645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 昇 旭化成工業(株), 機能膜技術開発部, 主任研究員
日比谷 和明 早稲田大学, 理工学研究科・日本学術振興会, 特別研究員
平田 彰 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00063610)
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Keywords | 畜産系排水 / 排水処理 / 生物膜 / 硝化細菌 / 脱窒細菌 / 生物学的窒素除去 / 浄化システム / メンブレンエアレーション |
Research Abstract |
畜産排水は,有機物を高濃度に含有するだけでなく,窒素・リンも非常に多く含んでいる.このため,畜産農家に必要とされる処理施設は安価,設置・維持管理が簡単でコンパクトであるだけでなく,窒素・リンを高効率で処理できるものが必要である.われわれは,畜産排水の生物学的窒素除去における硝化・脱窒という2つの反応を単一槽内で同時に進行させることができるメンブレンエアレーション型バイフィルムリアクタ(MABR)を提案した.この手法は多孔性中空糸状メンブレン表面に生物膜を付着させる装置であり,実際の反応場である生物膜にメンブレンの内側からダイレクトに酸素を供給することができる.また,それにより生物膜内の局所酸素濃度を制御でき,硝化菌と脱窒菌を共生させ,逐次的に反応を起こすことが可能となる.本研究の目的は,畜産排水をコンパクトな装置で高効率に処理することをめざし,MABRを用いた畜産排水処理システムの開発を行うことである.本年度は,MABRによる畜産排水中の有機化合物(TOC)および窒素化合物の除去速度について基礎的検討を行った.まず,回分試験により,TOCが運転開始直後から迅速に除去されること,および窒素化合物が窒素ガスまで完全に変換され,硝化・脱窒反応が逐次的に起こることを確認した.しかしながら,25日目を経過した後に亜硝酸が蓄積し始めた.これは,TOCの生分解がほぼ完全に進行したことにより,脱窒のための電子授与体がなくなったことに起因すると考えられる.つづいてMABRを用いた連続運転を行った結果,TOC負荷0.3[kg/(m^3・day)],窒素負荷0.27[kg/(m^3・day)]においてそれぞれ除去率98%,84%を達成した.しかしながら,リンに関しては除去率は70%に満たなかった.また,溶存酸素濃度の調整が重要であることが示唆された.
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