2001 Fiscal Year Annual Research Report
循環不全患者に対する酸素化perfluorocarbon腹腔内還流装置の開発
Project/Area Number |
12557099
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
海野 直樹 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (20291958)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 利夫 浜松医科大学, 医学部, 助手 (40283353)
中村 達 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00090027)
三岡 博 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (10324360)
|
Keywords | 多臓器不全 / Perrflurocarbon / 腸管虚血 / ショック / 腹腔内還流 |
Research Abstract |
我々は酸素化perfluorocarbon(PFC)の腹腔内還流が虚血腸管の粘膜防御に有効であることをラット腸管の虚血-再還流モデルを用いて証明した。この効果に着目し、臨床の現場でしばしば遭遇する、出血性ショック(HS)時の酸素化PFCの腹腔内還流が、ショックから蘇生後の多臓器不全の発症を抑制し、生存率の向上に寄与するか否かを実験的に検討した。ラット大腿動脈にカニュレーションし、観血的血圧モニター下に脱血を行ない、5分間かけて血圧を30~35mmHgまで低下させ、以後脱血と返血により120分間ショック状態の後、20分かけて返血により蘇生させ観察した。48時間後の生存率は治療群(PFC群)で60%(n=10)、対照群25%(n=8)で、酸素化PFCの腹腔内還流により、HSの生存率が上昇した。蘇生終了時のBase Excess(mmol/l)はPFC群-4.75±0.55、対照群-7.15±1.26(p<0.05)であった。乳酸値(mmol/l)は、ショック終了時PFC群6.25±1.25、対照群9.30±2.81、蘇生終了時PFC群2.36±0.46、対照群3.91±1.11でありPFC群は対照群より有意に低値であった(p<0.05)。HSでは循環不全による組織の低酸素状態が生体に様々な悪影響をおよぼすが、なかでも腹部臓器の虚血・再灌流はその病態において重要な役割を果たしていると考えられる。今回酸素化PFCの腹膜灌流によりHS時に血液ガスや乳酸値の悪化を抑制し、蘇生後の生存率が向上した。以上の結果から、本法は外傷や、多量の出血を伴う手術時の臓器保護に応用可能と考えられ、更なる応用方法について現在実験を進めている。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Ohara M, Unno N: "Peritoneal lavage with oxygenated perfluorochemical preserves intestinal mucosal barrier function after ischemia-reperfusion and ameliorates lung injury"Crit Care Med. 29. 782-788 (2001)
-
[Publications] 海野直樹: "上腸間膜動脈遮断モデルを用いての酸素化Perfluorochemical腹腔内還流の有効性についての検討"日本Shock学会誌. 16巻2号. 54-59 (2001)