2001 Fiscal Year Annual Research Report
宿主側の歯周病罹患リスクファクターの分子生物学的解析とその治療法の検討-歯周組織の老化に関する研究-
Project/Area Number |
12557178
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
長谷川 智一 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50274668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊入 崇 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10322819)
斎藤 彰 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (20301913)
白川 哲夫 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00187527)
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Keywords | 先天性リスクファクター / 歯周病 / ダウン症 / インターフェロンレセプター / STA1 / インターロイキン6 |
Research Abstract |
歯周病の罹患・進行に関して遺伝子的要因(先天的リスクファクター、genetic risk factor)を明らかにするため、常染色体異常であるダウン症をサンプルとして解析を行った。 ダウン症候群(Down syndrome)は第21番染色体が3本あることが直接の原因である。歯科では齲蝕よりも歯周病の早期発症が多いことが知られている。このことから、少なくともダウン症候群の人の歯周病には、第21番染色体上の遺伝子が関与していることが推測できる。 インターフェロン(INF)は細胞増殖抑制や免疫調節作用といった細胞応答の制御にも関与している。I型INF受容体とII型INF受容体間でシグナルのクロストークが存在し、INF-γによる応答はII型INF受容体を介したシグナル単独でも発揮されるが、INF-α/INF-βのシステムを利用することによりさらに効率の良いシグナル伝達を可能としているが明らかとなっている。本研究結果からダウン症では第21番染色体にコードされているI型INF受容体(INFAR1, INFAR2)が正常の細胞よりも発現が強かった。さらにその下流の転写因子であるSTAT1が、ダウン由来線維芽細胞で強いことが明らかとなった。またINF-γの投与でIL-6の産生が誘導されることが明らかとなった。INF-γの投与量が50, 100, 500U/mlの場合では、誘導されたIL-6産生量は正常線維芽細胞よりもダウン由来線維芽細胞が多いことが明らかとなった。さらにINF-γの投与量依存的に正常線維芽細胞およびダウン由来線維芽細胞の増殖能は抑制された。 以上の結果をまとめると、慢性感染である歯周病において局所で産生されたINF-γは感染に対する免疫応答として有利に働くはずであるが、ダウン症では過剰の染色体上の遺伝子によって、過度の免疫応答を生じる可能性が考えられた。と歯周病の発症メカニズムに関して解析を継続する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hasegawa, T.: "Human periodontal ligament cells derived from deciduous teeth induce osteoclastogenesis in vitro"Tissue and Cell. 34(in press). (2002)
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[Publications] Hasegawa, T.: "Expression of osteoprotegerin/osteoclastogenesis inhibitory factor and osteoprotegerin ligand/osteoclast differentiation factor in cultures of periodontal ligament cells derived from human permanent teeth"Journal of Periodontal Research. 37(in press). (2002)