2000 Fiscal Year Annual Research Report
文化財分析用可搬型X線分析装置の試作と文化財・考古学分野への摘要評価研究
Project/Area Number |
12558006
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
谷口 一雄 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (50076832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三辻 利一 奈良教育大学, 教授 (40031546)
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 教授 (90155648)
吉村 作治 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (80201052)
宇高 忠 アワーズテック(株), 研究開発部, 部長
中村 浩 大谷女子大学, 文学部, 教授 (10121873)
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Keywords | 可搬型蛍光X線分析装置 / 可搬型X線回折装置 / 文化財分析 / 考古学分析 / 鑑識化学分析 / 多励起源X線管 / キャピラリーオプティクス / エネルギー有感検出器 |
Research Abstract |
本研究は文化財資料や考古学資料等を持ち出すことなく"その場"分析を行いつつ、かつ非破壊な分析を要求する資料に対して資料の化学構造、化学種の情報を与え、かつ定量分析を可能とする文化財分析用可搬型X線分析装置を試作し、併せてこの試作装置による文化財・考古学分野への適用評価を行うことである。この為、文化財・考古学分野でX線を用いた分析手法でどのような情報の抽出が求められているか、いかなる条件の下で測定しなければならないか等を含めて測定要素の検討を研究分担者の専門分野ごとに行い、必要とされる測定装置の仕様、抽出情報の内容ならびにプログラムソフトの概要を2000年10月までに決定し、これに基づき装置の基本仕様を決めた。その後、その仕様に基づき装置の設計を行い、2001年3月末までに試作装置を完成させた。 具体的には、研究代表者の谷口は中井ならびに宇高と協力し、谷口が既に開発した可搬型蛍光X線分析装置および実験段階である可搬型X線回折装置の問題点を10月末までに抽出し、現場分析に適合した1台の装置で2つの機能を有する分析装置を設計、これに基づき装置の試作を行った。これと併行して10月末までに多励起源X線管、同時計測用検出器等本装置に必要な部分的な要素・開発を行い、これに必要な予備実験を行い、エネルギー有感検出器の利用が必要である事を結論づけた。これらの検討に基づき10月には全体構想を設計。3月には試作機を完成した。これらの予備実験の内容および装置の基本構想に関する部分を2000年12月に米国で開催された環太平洋国際化学会議(2000 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies)で発表を行い、可搬型X線分析装置の有用性を示した。2001年3月末東京で開催された応用物理学会において、各要素技術についての成果を報告した。 この間、研究分担者、吉村、三辻、および中村らはそれぞれ個別に適用評価に係わる予備調査を行った。特に吉村はエジプト古王国・新王国時代の埋蔵副葬品・貴金属類への適用を、中村は日本国内における銅鐸等金属類への適用を、また、三辻は古代・中世土器への適用評価に向けての予備実験・調査を行った。また年度末には次年度の実施調査に係わる研究会を開催し、今後の開発及び評価手法についての方針を討論した。
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[Publications] 野村恵章,前尾修司,永井宏樹,谷口一雄: "文化財分析用可搬型X線分析装置の試作"第36回X線分析討論会講演要旨集. 37-38 (2000)
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[Publications] 野村恵章,前尾修司,神田尚和,谷口一雄: "可搬型蛍光X線・X線回折共用装置の試作及び評価"第62回分析化学討論会. (2001)
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[Publications] K.Taniguchi: "Compact X-Ray Fluorescence Spectrometer for Micro Analyses"2000 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies. (2000)
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[Publications] S.Maeo,S.Nomura and K.Taniguchi: "Development of Portable X-Ray Analyzer (XRF/XRD) for Field Studies"10th Asia-Pacific Conference on Non-Destructive Testing. (2001)
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[Publications] 永井宏樹,伊藤隆人,谷口一雄,中嶋住秀,宇高忠: "集光型ポリキャピラリーの特性評価及び応用研究"第48回応用物理学関係連合講演会. No.2. 714 (2001)
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[Publications] H.Nagai,T.Utaka and K.Taniguchi: "Study of Monolithic X-ray Focusing Lens and Its Application in X-ray Fluorescence Analysis"2nd International Capillary Optics Meeting. (予). (2001)
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[Publications] K.Taniguchi,S.Maeo,H.Nagai,S.Kamihirata and S.Nomura: "Portable XRF/XRD for Field Studies and its Applications"COLLOQUIUM SPECTROSCOPICUM INTERNATIONALE XXXII. (予). (2001)