2000 Fiscal Year Annual Research Report
中国朝鮮族の移住とエスニシティ:都市居住者に関する社会人類学的研究
Project/Area Number |
12571017
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐々木 衛 神戸大学, 文学部, 教授 (60136398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
聶 莉莉 東京女子大学, 現代文化学部, 教授 (00258493)
園田 茂人 中央大学, 文学部, 教授 (10206683)
伊藤 亜人 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50012464)
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Keywords | 中国朝鮮族 / 都市への移動 / 階層分化 / 韓国資本・技術とのリンク / 国境を越えた移動 / 「客族」としての中国朝鮮族 |
Research Abstract |
都市に居住する朝鮮族家族の移住過程、職業、故郷の家族との絆、居住地でのネットワークに関する基本的な調査に着手した。 (1)本年度は、来年度からの本調査にむけて、中国朝鮮族の移動と就業状況について、地域的な特徴を概括的に把握することに目的があった。 (2)辺朝鮮族自治州和龍県の高等学校1981年卒業者の名簿から、現在の職業と居住地を整理した。彼らは大都市で就業する傾向が強いが、必ずしもよい条件で就業しているとは限らないことがわかった。 (3)北京、青島、上海、シンセンの4都市における朝鮮族の移住と就業に関する概況調査を実施した。北京では、北京大学や北京外国語大学などの重点大学を卒業して、政府機関や大学に勤務するもの、文化的資源を背景に私営企業家となるもの、さらに都市の下層で就業するものと、階層分化が激しい。これに対して、青島では韓国企業の資本・技術とのリンクが企業活動に重要な要素となっている。シンセンでは、韓国資本・技術との提携ばかりでなく、台湾や香港、さらには日本資本・技術との提携が見られた。 (4)また、中国朝鮮族は韓国への出国が日常的になっており、国境を越えたネットワークが形成されていることに注目される。都市下層に生活する人々も、韓国とのリンクが、新しい生活機会への転機に重要な役を果たしていることも予想された。 (5)来年度は、本年度調査の成果の上に、政府機関に勤めている人、私営企業家として成功した人、都市下層に対流している人の3つの階層を対象に、移住の過程、都市での活動(商工会、運動会など)、地域内ネットワーク、家族の絆、韓国資本・技術とのリンク、国外への移動などについてインテンシブな調査を実施する計画である。
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Research Products
(1 results)