2000 Fiscal Year Annual Research Report
軽度「痴呆化」高齢者の対人関係場面における情動の理解と表出のあり方に関する研究
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12610084
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
針塚 進 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50113973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 卓 琉球大学, 保健管理センター, 講師 (80284991)
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Keywords | 痴呆化高齢者 / 対人関係場面 / 情動の理解と表出 |
Research Abstract |
平成12年度では、先ず「九大版SAT」を作成し、次に図版の妥当性の検討の手続きを行った。 (1)「九大版SAT」の作成は、以下の11の場面(テーマ)に基づき、日本人の高齢者にも分かり易いような絵となることに留意して作成された。 (1)場面:高齢者がゲートボールをしているところ(楽しみ)、(2)中年夫婦が農作業をしているところ(仕事)、(3)高齢者が布団に横たわり、傍らに女性がいる場面(病気・身体的不安)、(4)高齢者が二人で墓参りをしているところ(信仰・死・祖先への思い)、(5)八百屋での買い物場面(日常的生活)、(6)高齢者が乳児を抱いているところ(孫・子ども・子孫)、(7)怒りを表している人と悲しみを表現している人が二人いる場面(攻撃性・対人関係)、(8)結婚式で若い夫婦が祝福されている場面(配偶者との関係)、(9)駅のホームで女性の高齢者が若者を見送る場面(別れ・旅立ち)(10)異性同士のダンス場面(異性への関心・性的感情)、(11)家族の食事場面(家族関係) (2)上記の「九大版SAT」の妥当性検討の手続き <現在までの経過と結果> ○対象者:若者(大学生・大学院生など)16名(平均年齢25.9歳)、在宅高齢者20名(平均年齢73.0歳)、施設入所高齢者16名(平均年齢81.1歳) ○方法:それぞれの対象者に「九大版SAT」を用いて物語を作るように求めた。 ○結果:対象者の多くが、どの図版においてもほぼ図版作成の意図と同じように図版を認知し、物語をする傾向が見られた。つまり、図版の場面の認知それ自体は可能な図版であることが分かったが、感じ方は多様であることが伺えた。
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