2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610141
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
佐々木 和義 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (70285352)
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Keywords | 半側空間無視 / 大脳劣位半球損傷 / 左片マヒ / 評価 |
Research Abstract |
脳血管障害による大脳劣位半球損傷者(左片マヒ者)94名に対して,1984年5月から2002年1月の間に,14種の半側空間無視症状検出課題を実施した。欠損データの多い2課題(「空間関係」と「逆転模写」)と33名を分析対象から外した結果,61名(男性56名,女性6名)の14課題が選ばれた。被験者の原因疾患は,脳梗塞25名,脳出血20名,くも膜下出血8名,大脳基底核出血6名,脳動静脈奇形2名であった。 3名の評定者のうち2名は合議で1名は独立に,課題毎に症状の重篤順にデータを並べ,さらに「0(無症状)〜5(極めて重篤)」の6段階の評定の規準を定めた。規準について2組が独立に評定を行った結果評定値の一致率は82.5%から100.0%と高い信頼性が得られた。 複数の因子に負荷量の高い課題が除外されるまで,主成分分析に続く主因子法バリマックス回転による因子分析を実施したところ,2回の操作で2因子が抽出された。除外された課題は,「絵のコピー」,「文章の音読」および「筆算」であった。第1因子(寄与率24.8%)は「漢字の模写」,「線分の二等分」,「イメージ画」,「立方体の模写」および「数字の抹消」に負荷量が高く,対象課題のイメージが具体的で固定的なものであり,イメージ操作因子と考えられた。第2因子(寄与率24.2%)は「図形の末梢」,「図・文字系列の模写」,「点画のなぞり」,および「塗り絵」に負荷量が高く,対象課題はランダムに配置されているものが多く,探索操作因子と考えられた。各課題の検出率は27.1%から85.2%で,6課題は40%から60%の間にあり,着実に検出可能な課題はなく,被験者によって反応する課題が多様なことが推察される。第1因子で最も検出率の高い「線分の二等分」(81.7%)と,第2因子で最も検出率の高い「塗り絵」(85.2%)の組み合せで約90%の検出率であった。
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