2001 Fiscal Year Annual Research Report
偽りの記憶の出現における材料の情動性と想起様式に関する実験的検討
Project/Area Number |
12610146
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
高橋 雅延 聖心女子大学, 文学部, 助教授 (10206849)
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Keywords | 偽りの記憶 / 気分 / 協同想起 |
Research Abstract |
1.研究の文献展望 偽りの記憶(フォールスメモリ)に関する文献展望として、符号化変数と材料変数を操作した研究論文を収集し、その現状と問題点についてまとめた。 2.実験 (1)材料の情動性と偽りの記憶の関係 不快語リストを5リストと快語リストを5リストずつ選択し、ネガティブ気分またはポジティブ気分を誘導する音楽を聴取させながら(統制群として何も音楽を聴取させない群も設け)、通常のリスト学習を行わせ、再生と再認を求めた。その結果、気分誘導による偽りの記憶に対する効果は認められなかった。したがって、偽りの記憶の出現が活性化の拡散によって起こるという説の妥当性について再検討を行う必要性があることが示唆された。 (2)想起様式(協同想起)と偽りの記憶の関係 聴覚呈示によるリスト学習を行い個人で再生させた後、2つの想起様式を設けて、もう一度再生を求めた。すなわち、もう一度個人で再生する個人再生群と、二人一組になって再生する協同再生群であった。その結果、リスト項目の再生に関しては、個人再生群よりも協同再生群の方がよかったが、偽りの記憶の再生に関しては、両群の間に有意差が認められなかった。したがって、協同想起によって必ずしも記憶が正確になるわけではないことが示唆された。
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