2002 Fiscal Year Annual Research Report
偽りの記憶の出現における情動性と想起様式に関する実験的検討
Project/Area Number |
12610146
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
高橋 雅延 聖心女子大学, 文学部, 助教授 (10206849)
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Keywords | 偽りの記憶 / 共同想起 / 最終再生 |
Research Abstract |
1.研究の文献展望 偽りの記憶(フォールスメモリ)の文献展望の続きとして、5つの理論(潜在的連想反応説・活性化の自動的拡散説、ファジィ痕跡説、ソースモニタリング説、誤帰属説)に関する研究論文を収集し、その現状と問題点についてまとめた。 2.実験-想起様式(協同想起)と偽りの記憶の関係 (1)5試行の直後再生と2回の最終再生 聴覚呈示による5リストの学習と直後再生を個人(80名)で繰り返した。そして、1回目の最終再生として、全員個人で再生させた後、2回目の最終再生として、2つの想起様式を設けて、もう一度再生を求めた。すなわち、もう一度個人で再生する個人再生群(40名)と、二人一組になって再生する協同再生群(20組40名)であった。その結果、群に分かれた2回目の最終再生にかんしては、リスト項目と偽りの記憶のいずれも、個人再生群と協同再生群の間に有意差が認められなかった。 (2)5リストの一括呈示後の直後再生と最終再生 5リストを一括呈示した後、個人(84名)で直後再生を行った。その後、最終再生として、もう一度個人で再生する個人再生群(42名)と、二人一組になって再生する協同再生群(21組42名)であった。直後再生では群の間に有意差は認められなかったが、最終再生では、リスト語も偽りの記憶のいずれも、個人再生群よりも協同再生群の方が再生率が高かった。したがって、協同想起によって正確な記憶量が増えると同時に、不正確な記憶量も増えることがあると示唆される。
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[Publications] 高橋雅延: "DRMパラダイムを使ったフォールスメモリ研究の現状と展望II-参加者変数,テスト変数を操作した研究-"聖心女子大学論叢. 99. 52-97 (2002)
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[Publications] 高橋雅延: "DRMパラダイムを使ったフォールスメモリ研究の現状と展望IV-理論の問題点と今後の展望-"聖心女子大学論叢. 100(印刷中). (2003)