2002 Fiscal Year Annual Research Report
自己定位動機:日本的自己の場依存性と自己不確実感の機能
Project/Area Number |
12610148
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Research Institution | TOKYO GAKUGEI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
杉森 伸吉 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (60266541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 忍 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (20252398)
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Keywords | 自己定位動機 / 文化心理学 / 自己不確実感 / 社会的比較 / 認知的不協和 |
Research Abstract |
近年の文化社会心理学が示してきたところを加味した本研究仮説によると、日本人の場合は所属集団の持つ集団基準から見て恥ずかしくないところに、自己を定位することに動機づけられているため、失敗したときには、自尊心回復よりも集団内の高地位に再定位するように、自己改善の動機が喚起されるため、比較対象として選ぶのは、自分より下位のものではなく、むしろ最高位の他者が選ばれやすくなること、そして自分の努力不足に原因が帰属されやすくなることを確認した。さらに、自己不確実感が高い個人ほど、こうした傾向が強いことも示された。また、選択行動の直後に、親しい他者が異なる選択をしたことを知ると、自己不確実感が高まり、不協和低減行動が生じた。以上の諸結果から、研究3についても、選択後の認知的不協和について、他者との関係性の観点から、検討を加えた。研究1における自己不確実感と成功・失敗の原因帰属および社会的比較の関連と、研究2の選択後の自己不確実感について検討した。従来の欧米の理論では、人間は自尊心維持に動機づけられており、失敗した場合は自己防衛の動機が高められて、失敗の原因を課題の困難さなどの外部要因に帰属することで、自尊心が傷つかないようにしたり、自分より成績の悪かったものと社会的比較をおこなうことにより、自尊心をあげるように試みたりすることが指摘された。他者の選択情報を与えた結果、自分の選んだ商品の魅力が増し、自分の選ばなかった商品の魅力が減少するという「認知的不協和」現象は、日本においては後者の条件においてのみ見られるだろう。ここでの研究仮説を検証し、仮説を支持する結果が得られれば、集団よりも個人を社会の一次的ユニットと見なす欧米における研究では説明できなかった重要な過程に光を当てることができ、実験社会心理学の研究はもとより、教育心理学、臨床心理学に対しても有意義な貢献ができるであろう。
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