2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610387
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Research Institution | DOSHISHA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
服部 伸 同志社大学, 文学部, 助教授 (40238027)
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Keywords | ドイツ史 / 医療資格 / オルタナティブ医療 / ホメオパティー(ホメオパシー) / 専門医 / ホメオパティー医 / 医師・患者関係 / 医学教育 |
Research Abstract |
これまで、患者の立場に立った治療を行うと宣伝されてきたホメオパティー医の実情を探ろうとしたが、個別のケーススタディーに必要な史料を発掘することができなかった。そこで、ホメオパティー医が、集団としてどのような行動をとったかを分析することを通して、彼らと患者の関係を浮かび上がらせることにした。 具体的には、専門医制度が整備されてくる中で、ホメオパティー医が、同僚である正統医学の医師との関係をどのように構築していったか、また、その際、患者との関係がどうなったかである。19世紀末の医学は、研究の高度化とともに、次第に専門分化が起こり、ワイマル期になると、医師職業団体の中で専門医認定制度が生まれた。 ところで、専門医認定が行われるようになると、専門医以外の医師が、特定の治療法などを名乗ることが難しくなった。ホメオパティーを治療を行う医師は「ホメオパティー医」を名乗ることが難しくなった。これでは、患者が彼らを識別できなくなり、彼らは存続が不可能になる。このような事態にあって、ホメオパテイー医の専門職団体は、正統医学の医師との妥協を図ることによって、自分たちが「ホメオパティー医」を名乗ることを認めさせようとした。その反面、これまでホメオパティー普及のために活動しており、正統医学に批判的なホメオパティー患者団体の機関誌への投稿に制限を加えるなど、患者団体との距離を取り始めた。 つまり、ホメオパティー医は自分たちの生き残りのために、患者団体との関係よりも、正統医学の医師との関係を優先したのである。
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Research Products
(1 results)