2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610413
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡村 秀典 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (20183246)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 一夫 九州大学, 文学部, 助教授 (60174207)
伊藤 淳史 京都大学, 文学研究科, 助手 (70252400)
|
Keywords | 文家屯 / 東大山 / 貝塚 / 積石墓 / 石鏃 / 土器 / 遼東 / 稲作 |
Research Abstract |
研究の初年度にあたる今年度は、日本学術振興会が1942年に中国の遼寧省大連市文家屯遺跡の周辺で発掘した資料を整理した。そのうち文家屯貝塚の出土品については、土器、石器・骨器、自然遺物(獣骨、魚骨、貝、人骨など)に分け、それぞれの専門家の指導と京都大学大学院生の協力のもと、ほぼ整理と実測を完了した。土器は地点ごとに年代が異なり、A地点は紀元前3000年ごろ、B・C地点は前2500年ごろと推定された。石器では、石鏃の製作における各段階のものがあり、ここで石鎌がつくられていたことが判明した。自然遺物では、フグやクロダイなどの微細な骨も採集されていること、シカやイノシシなどの狩猟のほか漁撈活動が活発におこなわれていたこと、その動物相は対岸の山東半島の先史時代貝塚と共通することが判明した。また、採集された紅焼土を宮崎大学藤原宏志教授に分析を依頼したところ、イネのプラントオパールがごく少量ふくまれていることが判明したため、文家屯の土器や西の山頂(標高157m)にある大頂山遺跡の紅焼土も追加して分析を依頼しており、稲作の伝播ルートこかんして、新しい成果が期待される。文家屯貝塚と同時に発掘された東大山積石墓については、玉石器と自然遺物の整理を完了し、発掘当時の日誌と図面類の整理もほぼ完了した。以上の室内作業をふまえて、北京と瀋陽で関連資料を収集するとともに、大連市郊外にある現地を踏査した。現地は近年まで空軍の基地が近くにあったため、立入が禁止され、遺跡の保存状態はいたって良好であった。踏査の成果をふまえて、平成13年度中に報告書『文家屯』の刊行をめざしたい。
|