2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610451
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
加藤 洋介 愛知県立大学, 文学部, 教授 (00214411)
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Keywords | 河内本源氏物語 / 別本 / 本文 |
Research Abstract |
1 本研究は、河内本源氏物語が底本とした本文および校訂に使用した本文を具体的に明らかにし、その成立事情を解明しようとするものである。河内本の校訂者である源親行は、底本とした本文に、現在別本に分類されている本文群を使用して校訂作業を行なっている。その詳細な状況を考察する基礎的資料を整備することが、本研究の主たる目的である。具体的には『源氏物語』の唯一の校本である『源氏物語大成 校異篇』について、特に別本群の部分を、現在の研究状況にも耐えうるよう、校異を増補修正する作業を進める。 2 本年は4年の研究期間のうちの第3年目にあたる。別本群の校異について、一昨年度『河内本源氏物語校異集成』として刊行するために行なったのと同じ作業をするため、各地の別本源氏物語の本文を、紙焼写真などによって調査収集した。これは来年度も継続する予定である。 3 上記2によって収集した資料などをもとに、『源氏物語大成 校異篇』底本との比校、別本校異の増補修正という作業を進めた。これが最も時間を要する作業であり、本年度は若菜下巻までの作業を終えた。1年という残された研究期間で、源氏物語全体の調査を終了させることが難しい状況となっており、研究計画全体を見直すべく、平成15年度科学研究費補助金の「研究計画最終年度前年度の申請」を行なったところである。 4 「別本」に分類される諸本でも、その内実は青表紙本に近い場合もあれば、河内本に近いこともある。巻によって分冊されるという書写形態をとるため、同一本の中でもその傾向は巻によって相当異なる。それらの状況を見極めながら、青表紙本や河内本との親疎関係をみてゆくことが、河内本源氏物語本文成立を考える上で重要な問題を孕んでいるものと期待される。
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