2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12620010
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
六本 佳平 放送大学, 教養学部, 教授 (70009827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ダニエル H フット 東京大学, 大学院・法学・政治学研究科, 教授 (10323619)
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Keywords | 立法過程 / 裁判過程 / 米大統領選挙 / 法と報道 / ジャーナリズム / 海外ニュース番組 / 法社会学 / 法とマスコミ |
Research Abstract |
本年度中に発生した諸事情(下記参照)により、本年度に予定していた研究計画をやや変更して米国PBSのJim Lehrer Hourおよび英国BBC Ten O'clock Newsの番組のデータ収集を中心に開始したが、米国大統領選挙をめぐる米国のテレビ報道が本研究の格好の素材となったのでこれをも対象として加えることとし、その結果、本年度の研究成果はそれらのデータ収集が主となった。 第一に、数十本のテープを交代で使用して上記2種のニュース番組を毎日予約録画し、事後チェックにより法報道関係を選び、種類別にダビング編集した(テープ約10本)。種類は、立法に関わる法政策、裁判等の事件に関わるケース、ジャーナリズムの3種であり、各英米別である。このデータ収集はなお継続中であるが、これら英米の法報道データは、専門記者の活躍、同一裁判事件の数日連続追跡、訴訟当事者・代理人インタヴュー、法曹有資格者による解説・討論などが一般視聴者の法に対する認識を深めるのに役立っていることを具体的に示している。 第二に、米国大統領選挙実施後の1ヶ月にわたる再集計問題をめぐって数多くの訴訟が提起され、その主要なものの法廷審理が生中継や描画により詳しくテレビ放映され、また解説・討論の対象とされたので、それに関する上記PBSおよびABCのThis Weekの番組を連日ほぼ網羅的に録画し、その中から特に関連深い部分をダビング編集し、貴重な画像データを得た(テープ5本)。これをフット教授とともにとおして閲覧し、討論・検討した。その結果は両名でとりまとめ中であるが、その概略を2001年4月の日本法社会学会の関東研究支部研究会で報告することになっている。このデータから、詳しいテレビ報道により、この稀有で複雑な法律問題を一般国民が理解し、政治的対立にもかかわらず最終的結論を受け入れ易くなったと同時に、逆に末端の詳しい開票事情が報道を介して公知の事実となったことが裁判所の対応の背景ともなった可能性もあるなどの重要な仮説的知見が得られた。 なお、本年度中途で研究分担者前田氏が研究機関在職の身分を失い、他方で海外研究者としていたフット氏が東京大学に移籍したため、フット氏を代わりに研究分担者とするという変動があった。来年度は、外国についての上記の知見を踏まえて、日本の法報道のあり方に改めて焦点をあてて研究を完成したい。
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