2001 Fiscal Year Annual Research Report
国民帝国としての近代日本国家の統治システムの展開とその法政理論に関する総合的分析
Project/Area Number |
12620079
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山室 信一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10114703)
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Keywords | 国民帝国 / 植民地統治 / 複合国家 / 異法域結合 |
Research Abstract |
本年度は帝国システムの世界史的比較を進めて「国民帝国」概念の有意性を検証していくことを重点課題に据えた。そのため、第一に近代において「国民帝国」が現われたことの固有の歴史的意義を明らかにするためにローマ帝国・モンゴル帝国・オスマン帝国、さらに秦,漢,随.唐,明,清などの中国の王朝帝国との異同について検討し、それらと「国民帝国」とがいかなる相違を歴史的に刻印されているかを調査した。次いで、第二に日本の近代国家の国制的性格を明らかにするという課題の下に、「国民帝国」としての形成と展開を実証的に明らかにしていくために外交史料館や国立国会図書館、国立公文書館などで史料・図書の収集や複写を行った。それらの史料調査のうえで、今年度は中華民国・中央研究院での講演と討議を踏まえて国民国家を超えた広域体制のありかたについて『近代日本的東北亜区域秩序構想』や「帝国と民族」(『20世紀の定義4』)、『思想課題としてのアジア-基軸・連鎖・投企』などの成果を発表した。また、グローバリゼーションの進展に絡んで現れた新たな世界秩序に関する欧米での新たな理論動向であるM.HardとA.Negriの"Empire"についても検討を加えた。 これらの研究を行うなかで、日本の国民帝国が東アジア諸国に対していかなる影響を与え、どのような反応を惹起してきたかを思想史的に解明していくために日本の国民帝国のイデオロギー的基底であったアジア主義の展開についての史料調査を行う必要が出てきた。そのため、次年度に上海復旦大学や北京図書館などにおいて中国の大亜細亜主義運動に関する調査を行うために中国の研究者との情報交換などの準備を進めた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山室 信一: "近代東アジア世界の形成と思想連鎖"東洋史苑(龍谷大学). 57. 1-32 (2001)
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[Publications] 山室 信一: "近代日本的東北亜区域秩序構想"中央研究院東北亜区域 研究演講系列(台北). 4. 1-30 (2001)
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[Publications] 山室 信一: "帝国と民族"『20世紀の定義・4』岩波書店. 19-34 (2001)
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[Publications] 山室 信一: "思想課題としてのアジア"岩波書店. 846 (2001)