2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12620089
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
飯田 敬輔 青山学院大学, 国際政治経済学部, 助教授 (00316895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 基史 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (00278780)
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Keywords | 世界貿易機関 / WTO / 紛争処理 / 貿易摩擦 |
Research Abstract |
本研究の目的はこれまで専ら法学的見地から研究されてきた世界貿易機関(WTO)の紛争処理制度を、より広い視点で学際的に研究し、その政治・経済・社会的意義と機能を明かにすることにある。 本年度は初年度であるため、基礎的資料の収集および分析を重点的に行ったが、2000年9月(ジュネーブ)と2001年3月(ワシントン)には国外調査も行うなど積極的に研究活動を行った。当初予定されていた学際ワークショップについては、準備が間に合わないため、来年度に延期することになった。 これまでの研究の成果は広範にわたるため学術論文などを通じて今後発表していくほかないが、海外調査などを通じてわかったこととしては、(1)これまでの経緯では、関係者はWTO紛争処理システムが一般に効果的であると認識していること、(2)ただし、ECバナナ紛争などの事例から、紛争解決了解に手続き的不明瞭性があることが明らかになり改革を急いでいること、(3)途上国については依然としてWTO紛争処理システムが使いにくく、そのための改善が図られていること、(4)一部の国の間では、紛争処理がルールの履行確保だけでなく、ルール形成にまで敷衍されて使われていることに対する懸念があること、などが明かになってきた。 (1)の点についてはまだ不明な点が残っているが、(a)先進国間の紛争については、WTO紛争処理システムは米通商法301条などに基づく一方主義を抑制する作用があること、(b)GATT時代にくらべ裁定の履行確保が順調に推移している点などが評価されている模様である。ただし(b)の点については1998年以降、未解決の問題が増えつつあるとの認識もある。 今後はさらにケーススタディーおよび統計的分析などを発展させるとともに、執筆活動および研究成果の発表にも力を入れていく方針である。
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Research Products
(1 results)