2000 Fiscal Year Annual Research Report
医療市場の誕生とその規制に関する歴史的・実証的研究
Project/Area Number |
12630087
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
上山 隆大 上智大学, 経済学部, 教授 (10193848)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼頭 宏 上智大学, 経済学部, 教授 (50138377)
|
Keywords | 医学史 / 消費社会 / 電気治療 / 科学史 / 市場社会 |
Research Abstract |
本研究『医療市場の誕生とその規制に関する歴史的・実証的研究:大衆消費社会における「市場と国家」のケーススタディ』については13年度も引き続き調査を行う。科学研究費の申請書類に記載されている平成12年度の研究予定は、ケンブリッジ大学のPoenix Assurance Archiveの調査とトロント大学のRoberts Library Collectionの調査であったが、後者の調査は研究代表者の時間的な制約から今年度は見送られ、イギリスでの調査に絞られた結果、前者のケンブリッジ大学の調査と、それに加えロンドンのPatent Office(特許庁)での調査が行われた。 ケンブリッジ大学のPhoenx Assurance ArchiveはPelican Life Insuranceをはじめ19世紀末に格段の進歩を遂げた多くの保険会社が残した資料である。そこには、膨大な数の被保険者の個人情報が残されているほか、この保険会社が当時、どのような経営戦略をもって保険事業を行っていたのかが詳細に記されている。今年度は、このコレクションの中にある、保険会社が雇った医者の記録、彼らのmedical examinationの記録を分析した。 ロンドンでは、Patent Officeに残されている、1855年から1914年までの医療菅家の特許の資料を分析した。主に、新しい医療器械や医薬品の特許の件数の数を分析したが、はっきりと分かることは1885年頃を境に医療関係のと虚数が激増していること、その多くが一般の市場で売られた健康器具や衛生用品であったこと、そして多くの場合に医者がその開発に関わっていたことである。このことは、これまでの歴史研究では否定されていたが明確な証拠を見つけることができた。 12年度は、上記の調査に基づいて、3月23・24日に慶応大学で行われた医療史のワークショップにおいて「神経力・電気力・生命力」と題された報告を行った。また、あたらしい年度に入るが、4月6日から8日にスタンフォード大学で開かれるPacific Coast Conference on British StudiesにおいてMassage Therapy,Sexuality and Commercialization of Medicineというタイトルの報告を行う予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Takahiro Ueyama: ""Profession and Market: BMA's Campaign against Patent Medicine Reconsidered""上智経済論集. 44巻2号. 1-23 (1999)
-
[Publications] Takahiro Ueyama: ""Capital, Profession and Medical Technology: The Electro-Therapeutic Institutes and the Royal College of Physicians, 1884-1922,""Medical History. 41. 150-181 (1997)
-
[Publications] Takahiro Ueyama: "Medicine and the Market: Professionalism, Commerce and Electrical Devices, 1860-1918"UMI,Bell & Howell Company.. 325 (1999)