2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12630121
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
近藤 勝直 流通科学大学, 情報学部, 教授 (70026300)
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Keywords | 都市高速道路 / 料金体系 / 対距離料金制 |
Research Abstract |
道路審議会(旧)の答申をふまえ,都市高速道路における料金体系の再構築をめざして、現在作業中である。利用者の負担の公平に配慮しつつ、料金体系の弾力的運用方法について提案する予定である。現行の料金体系は2車種・均一料金制(入路前払い)であり、これは、料金ブースでの料金収受時間の短縮と出路ブース建設費の節約がその背景にある。しかし、今後はETCの普及が予想され、これがかなりの程度に進展してくると、車種判別の自動化はもちろん、入口出口はノンストップであり、料金収受の必要はなく、後納方式なり前納方式なりで、距離、区間、時間帯、交通量などに応じた課金が可能となる。 今回検討しているのは、対距離料金制の導入であり、したがって、短距離では現行より値下げ、長距離では値上げとなる。この新しい料金体系が交通量におよぼす効果をシミュレートし、渋滞や環境、そして料金収入などに与える影響を評価する。考え方としては、新制度で料金収入が増加することは利用者の理解を得にくいので、料金収入一定の条件下でのありうべき料金水準について検討することがねらいとなる。 現在までの試算では、短距離の値下げは短距離トリップを増加させる。これによって、容量的に問題となる路線・区間ができる。一方、長距離の値上げによっては広域的な高速道路を必要とするトリップ(とくに物流トラック)に影響し、これが一般道路に転換すれば環境上好ましくない。かように、現行制度を改変すると、課金の合理性は確保できるが、一方で各種の新しい問題も発生する。また、現在議論されている「環境ロードプライシング」についても検討を加えている。これも、なかなかなやましい問題であり、具体的には、阪神高速道路神戸線(環境問題あり)と同湾岸線(環境問題なし)の2路線間で料金格差によって、問題の神戸線から湾岸線に交通量を誘導しようとするものである。これも予想外に神戸線の料金弾性値が低く、したがって期待通りの転換がすすまない。利用者が値上げについて来るのである。かえって増収にもなってしまうのである。この原因は上記2路線が真に代替ルートを形成していないことと、環境問題地域前後での車両の入退出が多く、トリップのODを再度精査する必要がある。これらを明らかにした上で、実行のある環境政策としての料金政策による交通誘導をはかる必要がある。次年度の課題としたい。次年度はさらに車種区分についても考察を加える。
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