2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12630127
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 幸三 岡山大学, 経済学部, 教授 (40240014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 篤男 名古屋市立大学, 経済学部, 助教授 (10275117)
伊藤 博之 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (20242969)
山路 直人 関東学園大学, 経済学部, 助教授 (40245139)
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Keywords | 新事業開発 / 社内企業家 / 日本型企業家社会 / スリーエム社 / 創発性 |
Research Abstract |
新事業の創造は企業の全社レベルでの重要な戦略的意思決定であり、戦略、管理システム、社内企業家活動、組織機構・風土という多面的な視点からの分析が必要である。この研究では、これまでの研究プロジェクトの蓄積をふまえ、日本型企業家社会の構築という全体的な枠組みのなかで、日本企業における新事業開発の部分的で直観的な言及ではなく、これら4つの主要なテーマを設定して新事業開発についての系統的な学術研究を行う。平成12年度は、新事業創造のモデルとなるアメリカの先端事例として、最近の3M社の新事業開発に焦点をあてて分析を進めた。まず、3M社に関する新たな文献・資料を国内外にわたり広く収集するとともにStrategic Management Journal、Journal of Business Venturing、Entrepreneurship Theory and Practiceなどの欧米の主要ジャーナルをフォローして新事業の創造に関する新たな分析視角の精緻化に努め、関連の文献・資料リストを作成した。次に、3M社の1970年代以降のAnnual Reportsを利用して、同社の経営環境と業績の推移について分析した。さらに、同社のリアルタイムで進行中の新事業プロジェクト分析のために、平成12年10月に約1週間、アメリカ・ミネアポリスにある本社を訪問し、Guehler、Nicholson、Powell、Grenzの4副社長のインタビューを中心として最近の新事業開発の動向と支援システムの実態を調査した。平行して、金子剛一取締役、日隈信一郎広報部長を中心とした住友3M社へのインタビュー調査を実施し、3M社と住友3M社の間での組織的な連携についての実態の把握に努めた。われわれの調査分析からは、3M社が組織の創発性を重視した伝統的な事業開発に加えて、経営資源の重点配分を意図した仕組みを構築し、国際的な市場構築を視野に入れたよりスピーディな新事業開発を目指してイノベーティブな組織であり続けようとする企業革新のプロセスが理解できた。これらの調査結果については、月例研究会でプロジェクト参加者全員による検討を行い、ディスカッション・ペーパーを作成して、それをもとにわれわれと3M社、および住友3M社との間で意見交換をおこなった。
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Research Products
(1 results)