2000 Fiscal Year Annual Research Report
証券市場のダイナミズムと多国籍銀行の経営戦略リスクに関する国際比較研究
Project/Area Number |
12630139
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
坂本 恒夫 明治大学, 経営学部, 教授 (40147955)
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Keywords | 経営戦略リスク / ベンチャー・キャピタル市場 / 派生証券市場 / 証券化商品市場 / 会社分割制度 / トラックキング・ストック / 機関株主支配 / 利益引上げ競争 |
Research Abstract |
本研究の目的は、証券市場のダイナミズムの中で、多国籍銀行がどのように対応しているかを、米国、英国、日本の銀行の経営行動を例にとりながら、比較研究することにある。 まず本年度は、証券市場のダイナミズムの研究に重点をおいた。 証券市場のダイナミズムとは、従来の1・2部の株式市場、社債市場、店頭登録市場に加えてマザーズやナスダック・ジャパンのようなベンチャー・キャピタル市場、先物取引市場、オプション取引市場、デリバティブ取引市場などの派生証券市場、そして資産の流動化によってコストを削減する役割を担う証券化商品市場のように、企業のニーズに応じて次々に新たなマーケットを形成する対応力をいう。 証券市場は現在、機関株主が支配しているが、この市場と銀行経営との関係を見てみると、1990年までの両者の関係は、銀行のビジネス活動を支援するために株式市場は存在したが、90年以降は、従来とは異なり、銀行の活動を監視する存在に変化している。 したがって銀行は、自らの意思よりも株式市場の評価を強く意識してビジネス活動を展開するようになった。その結果、株式市場の評価を高めるために、これまでとは逆にビジネス活動を拡大ではなく縮小するという事態も生じている。銀行は、株式市場の機関株主から経営活動全体を監視されており、株式市場の評価や機関株主の意向を強く意識して成果主義的な経営行動を展開しているのである。そしてこうした銀行や企業の行動が証券市場のダイナミズムを形成しているのである。 次年度は、銀行の経営行動の研究に重点を移して、どのように経営戦略リスクの回避が行われているか分析したい。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 坂本恒夫: "バークレイズの経営行動とイギリスの銀行・企業間関係"明治大学経営学研究所『経営論集』. 第47巻第1号. 2-16 (2000)
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[Publications] 坂本恒夫: "金融ビックバン以降の英国銀行経営における戦略リスクの増大-ナットウェスト・グループを事例として-"明治大学経営学研究所『経営論集』. 第47巻2・3号. 35-55 (2000)
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[Publications] 坂本恒夫: "3国籍展開と地域別特化-HSBCホルディングスを事例として-"明治大学経営学研究所『経営論集』. 第47巻第4号. 20-33 (2000)
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[Publications] 坂本恒夫: "ビック・バン以降のイギリスの銀行行動について-ロイス・TSBを中心にして-"明治大学経営学研究所『経営論集』. 第48巻第1号. 1-15 (2000)
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[Publications] 坂本恒夫: "資産の流動化と株式会社の今日的役割"日本財務管理学会『財務管理研究』. 第12号. 1-11 (2001)
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[Publications] 坂本恒夫: "英国4大銀行はなぜ投資銀行業務から撤退したか"証券経済学会『証券経済学会年報』. 第36号. 35-41 (2001)
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[Publications] 坂本恒夫: "戦後経営財務史・成長財務の軌跡"T&Sビジネス研究所. 165 (2000)
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[Publications] 坂本恒夫,佐久間信夫: "企業集団と企業間結合の国際比較"文眞堂. 255 (2000)