2002 Fiscal Year Annual Research Report
「ドイツ会計基準委員会」の設置と商法会計規範システムの形成に関する研究
Project/Area Number |
12630149
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
木下 勝一 新潟大学, 経済学部, 教授 (40018643)
|
Keywords | ドイツ会計基準委員会 / ドイツ会計基準 / 2005年問題 / 会計改革関連法 / ヨーロッパ共同体会計指令 / 連結会計 / 民間機関への権限委譲 / 国際会計基準 |
Research Abstract |
平成14年度の研究計画に従って、「ドイツ会計基準委員会」の制度的役割についての研究を行った。商法成文法主義のもとで会計基準を制定してきたドイツが、国際会計基準への対応を急ぐヨーロッパ連合のなかで「ドイツ会計基準委員会」という民間機関方式での基準設定システムに転換した1998年以降の現実をどう評価すればよいか。このテーマは、同じく「企業会計基準委員会」の民間機関方式を2000年から導入した日本との比較で重要である。平成14年度の研究は、「ドイツ会計基準委員会」の役割について取り上げた。「2005年問題」を視野に入れたドイヅ会計基準の復権に向けた戦略的な模索が1998年の会計改革関連法以降続けられており、「ドイツ会計基準委員会」がその役割を担っている。この「ドイツ会計基準委員会」は、(1)連結会計に関する諸原則の適用のための勧告の開発、(2)会計の諸規定の立法行為にあたっての連邦法務省への助言、(3)国際的な会計基準設定機関においてドイツを代表するといった三つの任務を与えられている。しかし、本年度の研究は、この三つの任務そのものの基底に存している会計基準の正統性を支える権威の源泉として、「ドイツ会計基準委員会」が社会的に承認されているのかという問題点を取り上げ、ドイツの議論を整理し、アメリカのような民間機関が権威の源泉となっている国とは違った、公的セクターである「連邦法務省-政府-議会」という立法過程の権威の支持のもとで、「ドイツ会計基準委員会」が会計基準形成を行い得るハイブリッド方式がドイツの特徴であることを明らかにした。
|
Research Products
(2 results)