2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640053
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
柳井 忠 新居浜工業高等専門学校, 数理科, 助教授 (50220174)
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Keywords | ホップ代数 / 積分 / 余加群代数 / フロベニウス拡大 |
Research Abstract |
素環Rに有限次分裂ホップ代数HがX外部的に作用しているとき,Rのextended centroid KとHのスマッシュ積K#Hの右余加群部分代数は,Rの有理的完備部分環との間に上への1対1対応を持つと予想されている,これについては1999年にイスラエルのS.Westreichが証明を発表しているが,このたびその証明に誤りがあることを示す反例を明らかすることに出来た.さらに,Westreichとの共同の研究により,Rの有理的完備部分環の集合からK#Hの右余加群部分代数の集合への対応写像が1対1であることの簡潔な証明を与えるに至った.証明に使われたbimodule propertyと呼ばれる部分環の性質の一般化は積分を使ったRへの作用の簡略化を可能にし,今後の積分の解明への展開が期待される.なお,この結果はWestreichとの共著論文として現在準備中である.また,論文の中でこの対応写像が上への写像になることは基礎体の標数が0である場合に証明されているが,すべての右余加群部分代数がK上フロベニウス拡大である場合にもそうなることが分かった.このことから標数0の場合,右余加群部分代数はすべてK上フロベニウス拡大になるのではないかとの予想が得られた.いずれにしても,積分の存在とフロベニウス環拡大との関連がますます強く予想されることになった. また,今年度行われた研究者たちとの意見交換によりL.Kadisonの著作などフロベニウス拡大に関する資料や最近の研究結果を集めることが出来た.特に土井らによる双フロベニウス代数は今後の発展に興味が持たれる対象である.来年度はそれらをもとに,積分の解析をさらに深めることに重点をおいて研究を続け,応用として対応定理の完全解決への道を探ることが課題となる.
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