Research Abstract |
平成12年度はコンパクト(非ケーラー)局所共形ケーラー多様体に対する変換群の対称性と剛体性について調べ,次のような結果を得た.2n(【greater than or equal】4)次元複素Hermitian多様体(M,g,J)においてωをω(X,Y)=g(X,JY)により定義された基本2次形式とする.このωが積分条件dω=θΛωかつdθ=0をみたすとき,Mは局所共形ケーラー(l.c.K.)多様体という.この時,この1-閉形式θはLee形式とよばれMの幾何学的性質を記述する.この局所共形ケーラー計量gに対する変換群として正則共形変換を最初に考えた: 定義:局所共形ケーラー変換群Aut_<l.c.K.>(M)={微分同相f:M→M|ある正関数λが存在して,f^*g=λ・g,f_*oJ=Jof_*}.小畠,Lelong-Ferrandの定理を使って,次の基本的な結果を得た. 定理A.局所共形ケーラー多様体Mがコンパクトならば局所共形変換群Aut_<l.c.K.>(M)はコンパクトリー群になる. 局所共形ケーラー計量gの基本2次形式ωから出てきたLee形式θ,反-Lee形式θoJに対し,g(X,θ^#)=θ(X)とおくことにより,θはM上のベクトル場θ^#を定める.このθ^#はLeeベクトル場とよばれる.このとき{θ^#,Jθ^#}はM上に複素平面場を与える.{θ^#,Jθ^#}^⊥をgに関する直交部分束とするならばJ-不変な直和:TM={θ^#,Jθ^#}【symmetry】{θ^#,Jθ^#}^⊥ができる. 定義.微分同相写像f:M→MがLee-Cauchy-Riemann(LCR)変換とは次の(i),(ii),(iii)を満たすものである;(i)fは部分束{θ^#,Jθ^#}^⊥をそれ自身に写し,その上で正則である(f_*oJ=Jof_*)(ii)f_*θ^#=θ^#mod{θ^#,Jθ^#}^⊥,(iii)M上の正関数λ>0が存在して,f_*(Jθ^#)=λ・(Jθ^#)mod{θ^#,Jθ^#}^⊥.注意することはfは一般に複素平面場{θ^#,Jθ^#}上J-不変ではないことである.このとき次の形の剛体性結果を得た. 定理B.(M,g,J)をコンパクトl.c.K.多様体とし,θをLee形式とする.このとき,LCR変換群からなる閉部分群C^*=S^1×Rが存在して,その部分群S^1はLeeベクトル場θ^#を誘導するとき, (i)Mの適当な有限被覆はλ-型のHopf多様体(S^1×S^<2n-1>,J_A,g_A)と正則等長同型になる.ここで,λ=(λ_1,…,λ_n),1<λ_1【less than or equal】…【less than or equal】λ_n. (ii)さらにこのとき,反-Leeベクトル場Jθ^#が自由なS^1-作用を生成するならば,Mは通常のinfra-Hopf多様体(S^1×_FS^<2n-1>,J_0,g_0)に正則等長同型である(F⊂U(n)).
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