2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640092
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
相馬 輝彦 東京電機大学, 理工学部, 教授 (50154688)
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Keywords | 双曲3次元多様体 / 擬フックス群 / 代数的極限 / 幾何的極限 / ザイフェルト多様体 |
Research Abstract |
(1)「幾何的に有限なクライン群からなる列の代数的および幾何的極限にどのような群が現れるか」という問は、クライン群論における最も重要な問題の一つである。今年度の研究では、代数的に収束する擬フックス群の列{Γ_n}の幾何的な極限Gに対し、双曲多様体Η^3/Gがどのような位相型を持つか調べた。特に、Γ_nが向き付け可能な種数>1の閉曲面Σの基本群π_1(Σ)に同型な場合は、幾何的な極限Η^3/Gの位相型が完全に決定できた。実際、クレバスと呼ばれるΣ×[0,1]内の閉集合χが存在して、Η^3/GはΣ×[0,1]-χに同相であることが証明できた。逆に、任意に与えられたクレバスχに対し、擬フックス群の幾何的極限GでΗ^3/GがΣ×[0,1]-χに同相となるものが構成できた。特に、Η^3/GはΣ×[0,1]の開集合に同相であることがわかった。この結果を証明する過程で、χに関するΣ×[0,1]内のΒ^±型部分曲面に対応するΗ^3/Gのエンド不変量(等角構造またはエンディング・ラミネーシヨン)がΗ^3/Gの幾何構造と深く関わっていることが理解できた。 (2)3次元双曲閉多様体M上の(双曲計量とは限らない)リーマン計量から誘導された普遍被覆空間Η^3上の計量rをコ・コンパクト計量という。無限球面S^2_∞=∂Η^3内の滑らかな単純閉曲線lが任意に与えられたとき、lを境界にもつΗ^3内に固有に埋め込まれたr-最小面積平面が存在することを証明した。これは、Gabaiの予想(1997年)に対する肯定的な解である。 (3)「既約な閉多様体Nが無限基本群をもつザイフェルト多様体Mとホモトピー同値なとき、NはMと同相である」というスコットの剛性定理(1983年)に対し別証明を与えた。新しい証明は、3角フックス群がインシュレータ条件をみたすという事実を利用したものであり、双曲多様体の位相的剛性定理(Gabai)のザイフェルト多様体版といえる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Teruhiko Soma: "Volume of hyperbolic 3-manifolds with iterated pseudo-Anosov amalgamations"Geom. Dedicata. 90. 183-200 (2002)
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[Publications] Koji Fujiwara, Teruhiko Soma: "Bounded classes in the cohomology of manifolds"Geom. Dedicata. 92. 73-85 (2002)