2000 Fiscal Year Annual Research Report
高次元ガスケット上の自己回避確率過程とくりこみ力学系の固定点の唯一性
Project/Area Number |
12640116
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 哲弥 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (10180902)
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Keywords | くりこみ群 / hierarchical model / triviality |
Research Abstract |
本研究の目的は,短期的には高次元ガスケット上の自己回避道(self-avoiding paths)の漸近的振舞いを,歩数空間におけるくりこみ力学系の軌道解析を経由して解析することであるが,最終的には,数理物理学,特に場の量子論におけるくりこみ群の方法を念頭に置いて,漸近的性質の統一的な解析手段としてのくりこみ力学系と呼びうる方法の手がかりの一端を見いだすことである. 本年度の主要な研究成果は,場の量子論に関連する遠ガウススピン系のくりこみ群による解析である.具体的には,4次元hierarchical Ising modelのblock spinくりこみ群臨界軌道の存在を証明した.Block spin変換によるくりこみ群軌道はGauss固定点に収束する.数理物理学上の課題へのくりこみ群という非常に重要な描像の直接的な適用である.場の量子論の言葉で大ざっぱに言うと,hierarchical Ising modelからは4次元時空で相互作用しない自由場しかつくれないことに対応する. くりこみ群の最初の有限回(ガウス固定点から大きく離れた領域での大局的な軌道解析)は計算機による厳密な評価により,以後の軌道はGauss固定点近傍の軌道解析により,それぞれ証明した. よく知られた問題をよく知られた描像に基づいて解決した.(言い換えればよく知られていながら解かれてこなかった問題を解いた)ことが高く評価できると考える.当該研究費によって購入した計算機による膨大かつ厳密な計算結果を用いることがこの研究の完成に不可欠であった.計算機の発達した現代において初めて先人の踏み込み得なかった研究領域に切り込むことが可能になった一例である.
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Research Products
(1 results)