Research Abstract |
今年度は3変数以上のマルチフラクタル関数を定義し,その性質を調べた.またその結果を利用して3変数以上の次元スペクトル関数を定義し,4次元以上の自己アファイン集合を特徴づけた. d次元空間の最初の軸上の集合S(α1,...,αd)を以下のように帰納的に定義し,そのハウスドルフ次元をd変数α1,...,αdの特異性スペクトルf(α1,...,αd)と定める.S(α1,...,αd)に含まれる点は,その点を通る2番目の軸方向の直線上のd-1変数の集合S(α2,...,αd)を台とする確率測度で,その直線上でS(α2,...,αd)のすべての点で特異性がα1となるものが存在するような点である. d個の逆温度パラメータβ1,...,βdに対する自由エネルギーは,シリンダー集合の測度を最後の2つの逆温度の比でべき乗して最後の軸方向に加え,最後から2番目と3番目の逆温度の比でべき乗して最後から2番目の軸方向に加え,ということを繰り返し,最初の軸方向に加えたものをβ1乗したものの対数をシリンダー集合のサイズの対数で割ったものを考え,シリンダー集合のサイズを0にした極限で定義する.ある一般的な条件のもとで多変数の特異性スペクトルは多変数のルジャンドル変換で与えられる. d+1次元のフラクタル集合に対してd変数の次元スペクトルH(δ1,...,δd)は,最初の軸上の点で,その点に垂直な超平面とフラクタル集合との交わりのd-1変数の次元スペクトルH(δ2,...,δd)の値がδ1となるものの集合のハウスドルフ次元となる.上で定義した自由エネルギーで,シリンダー集合の測度の代わりに,縮小された自己アファイン集合の個数を使って自由エネルギーを定義すると,次元スペクトルはその自由エネルギーの変形ルジャンドル変換で与えられる.
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