2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640201
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Research Institution | IBARAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山上 滋 茨城大学, 理学部, 教授 (90175654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 富美子 茨城大学, 理学部, 助教授 (90194208)
藤原 高徳 茨城大学, 理学部, 教授 (50183596)
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Keywords | テンソル圏 / 軌道体 / 双対性 / ホップ代数 |
Research Abstract |
今年度は、本研究課題の研究最終年度であるが、解析的な研究から派生した代数学的問題についていくつかの進展を見ることができた。 量子対称性の代数学的な側面を考える上で重要な、軌道体の理論について、その最終版と呼ぶべき定理を得ることに成功した。論文自体は現在取りまとめ中であるが、基本的な枠組みおよび道具立てについては、「テンソル圏における群対称性と軌道体の双対性」および「半単純テンソル圏における淡中双対」という2編の論文として出版することができた。 軌道体の概念自体は、広く数学的な構造を考える上で普遍的なものであるが、ここで問題となるのは、テンソル圏が有限群による対称性を何らかの形でもつ場合であり、その有限群により対称性を縮退させたものがテンソル圏による定式化がすでに完成していたのであるが、軌道体と呼ばれるもので、簡単なモデルから複雑なモデルを構成するために有効な方法として知られている。 量子対称性に関する軌道体としては、有理型共形場のADE分類法に関連して、最も簡単な群であるZ_2による軌道体による構成方法として、研究が始められた。その後、より高次の群対称性に関する軌道体に対象が広げられたのであるが、具体的なモデルの構成が、量子群のワイル群を中心に進められたせいもあり、有限可換群による軌道体の双対性が「群対称性」の論文でまず確立された。 その後、本研究課題における成果が反映される形で、有限次元ホップ代数による対称性に関する軌道体の定式化がなされ、それと同時に軌道体の双対性がこの場合にまで拡張されることになった(「淡中双対性」の論文)。これは、とくに、非可換群による軌道体の双対性を含むもので前者の自然な拡張になっている。 ごく最近になって、ホップ代数による対称性をさらに拡張した、フロベニウス代数による対称性の記述方法が明らかになり、テンソル圏の軌道体に関する双対性としては、最終版とでも称すべき定理に到達し得たことは上で述べた通りである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shigeru Yamagami: "Frobenius reciprocity in tensor categories"Math. Scand.. 90. 35-56 (2002)
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[Publications] Shigeru Yamagami: "Group symmetry in tensor categories and duality for orbifolds"J. Pure and Applied Algebra. 167. 83-128 (2002)
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[Publications] Shigeru Yamagami: "Tannaka duals in semisimple temsor categories"J. Algebra. 253. 350-391 (2002)