2000 Fiscal Year Annual Research Report
軽い中性子過剰核におけるソフト・ダイポール共鳴の理論的探索
Project/Area Number |
12640246
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 幾芳 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20109416)
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Keywords | 中性子過剰核 / ソフト・ダイポール共鳴 / ヨスト関数法 / 対相関 / 複素座標スケーリング法 / クーロン分解反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中性子過剰核の典型である^<11>Li核のソフト・ダイポール共鳴状態の存在を理論的に探索し、存在するかどうかの理論的結論を得ることである。 そのために、本年度(H12)は次の2つの課題が取り上げられた。 (1) ^9Li-n相互作用の研究 本課題は^9Li+n+n模型研究の第2段階として,^9Li-コアの自由度と外殻中性子の結合を取り上げ、その効果を明らかにすることである。そこで、^9Liの内部自由度して中性子対相関を取り上げ、外殻中性子との相互作用の重要な効果であるパウリ・ブロッキングによるs-波、p-波の縮退を引き起こす^9Li-n相互作用について、ヨスト関数法を用い詳細に分析した。その結果、s-波の仮想状態をもたらす現象論的^9Li-n相互作用がパウリ・ブロッキング効果を取り入れた微視的理論で再現されることが明らかになった。 (2)^6He→^4He+n+nクーロン分解反応の理論的研究 複素座標スケーリング法を用いて、3体分解反応を理論的取り扱う新しい枠組みを作成した。この新たな理論を用いて、^6He核のクーロン分解反応を分析し,2体・3体連続状態の構造とそれらがどのように分解反応断面積への寄与するか,また3体共鳴状態からの寄与を明らかにした。その結果、3体分解反応の反応機構において,2体の連続状態を経て,3体に分解するというシーケンシャル分解が重要であることが分かった。また、^6He核の3体分解反応ではソフト・ダイポール共鳴状態が大きな寄与をしていないことも明らかになった。 これらの課題は、3月現在,ほぼ予定どおり完成し、既にそれぞれの課題に対応して論文2編公表された。また、2001年春の物理学会でも報告される予定である。さらに、次年度の計画についても具体的に検討が始められつつある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takayuki Myo 他: "Analysis of ^6He Coulomb Breakup in the Complex Scaling Method"Physical Review C. 63・5(印刷中). (2001)
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[Publications] Hiroshi Masui 他: "Study of Virtual States in ^5He and ^<10>Li with the Jost Function Method"Nuclear Physics A. 673. 207-218 (2000)
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[Publications] Nozumi Yabusaki 他: "Mass Shift and Decay Widths of Ψ's due to OZI-Allowed Decay Channels"Few-Body Systems. 28. 1-23 (2000)
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[Publications] Yosihide Ohbayasi 他: "Development of Charged Particle Nuclear Reaction Data Retrieval System on InterigentPad : CONTIP"Journal of Information Science (England). 26. 29-37 (2000)
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[Publications] Kiyoshi Kato 他: "Complex Scaling Methods for the Study of Light Unstable Nuclei"Few-Body Systems, Supplement. 12. 118-124 (2000)
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[Publications] Takayuki Myo 他: "Analyses of Resonances by Using Complex Scaling Methods"Few-Body Systems, Supplement. 12. 149-152 (2000)