2002 Fiscal Year Annual Research Report
粒子-ガンマ線相関を用いた重イオン共鳴の分子的構造の分析
Project/Area Number |
12640250
|
Research Institution | AKITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
上柿 英二 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (10113888)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 恭久 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (80000868)
|
Keywords | 重イオン / 分子的共鳴 / 二原子核分子 / 高スピン / 振動モード / Wobbling motion |
Research Abstract |
^<28>Si+^<28>Si分子共鳴状態について,スピン非整列を示す「粒子-粒子-ガンマ角相関データ」を分析し,共鳴状態の構造について一定の結論を得た.理論的には,高スピン重イオン模型を用いて部分崩壊幅を算出し,R-matrix散乱振幅から,フラグメントより二次的に放出されるガンマ線強度を計算できる.実験はスピンベクトルが反応面に平行であることを示すので,この様な特殊な核構造が分子共鳴のどの様な運動モードで起こるかを明らかにした. ^<28>Si+^<28>Siの安定構造はoblate変形した^<28>Siがその赤道面で接している様な配位である.この安定配位では,バタフライ様の振動モードと,二つのパンケーキ形状の^<28>Siがその重心を結んだ軸の回りに互いに逆回転して捻れるタイプの運動(ツイストモード)が代表的な励起モードである.これらの励起状態と分子的基底状態の3ケースについて角相関を検討した.その結果,以下の結論を得た.バタフライ励起モードなどの振動励起状態ではスピンベクトルは反応面に平行であるものの,振動面に垂直な方向に揃いすぎて実験との一致が良くない.また,ツイストモードでは分子軸方向にスピンが揃ってしまい,これも実験と一致しない.Wobblingしている基底状態では,スピンの向は反応面上で特定の方向に偏らないので,これが一番妥当である. 一方,基底状態の場合には非弾性チャンネルへの崩壊強度が弱いので,昨年より解決すべき問題として残されていた.要するに純粋なモードでは崩壊幅の特徴と相関データの示す特徴の両方を満足しないのである.そこで,基底状態がもっと複雑な相関を持ち,いろんなモードの成分を含んでいる場合を想定して,検討を加えた.例えば,より強い引力で束縛されたならば,基底状態はアンチバタフライ的な相関を強く持つ.この場合には,角相関,非弾性崩壊強度ともに実験を良く再現することがわかった.
|
Research Products
(1 results)