超対称Yang-Mills理論を通した超弦理論の非摂動論的ダイナミクスの研究

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12640264
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 畑 浩之 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70164837)
• Keywords: 超弦理論 / 弦の場の理論 / タキオン / BRST対称性 / 非可換空間 / BPS古典解 / モノポール / D-brane

Research Abstract

今年度は、以下の二つのテーマについて研究を行った。
1)非可換空間上の超対称Yang-Mills理論におけるモノポール解の非可換パラメータに関する高次解析:空間座標同士が互いに交換しない"非可換空間"上の場の理論は、様々な意味で興味深いが、特に、反対称テンソル場が背景にある超弦理論の低エネルギー有効理論として、非可換空間上の超対称Yang-Mills理論がある。研究代表者と後藤生也氏(理学研究科大学院生)は、この非可換空間上の超対称Yang-Mills理論におけるモノポール古典解を非可換性パラメータの2次まで構成した。更に、これを可換な記述に変換する写像(Seiberg-Witten map)を非可換性パラメータの2次まで求め、その写像に含まれる任意パラメータを調節することにより、この古典解に対する弦理論的解釈(『D3-brane間に斜めに張ったD-String』)が非可換性パラメータの高次まで成り立っていることを確認した。
2)ボゾン的開弦理論におけるタキオン凝縮:ボソン的開弦理論には、摂動論的真空とは別に、より安定な非摂動論的真空が存在し、そこでは開弦の自由度が全く消失しているということがSenによって予想され、その一部は、開弦の場の理論においてlevel truncationなる近似を用いることで非常に良い精度で示された。研究代表者と篠原俊一氏(理学研究科大学院生)は、この解析で用いられた古典解が、運動方程式の解である事の他に、BRST不変性の要求も満たしていることを示した。これにより初めて非摂動論的真空を起点とした理論が無矛盾に存在し得ることが確認された。また、level truncation近似では、望ましい非摂動論的真空解以外に"変な"解も現れる。これらは運動方程式の解ではあるが、BRST不変性の要求を満たさず、したがって排除されることも示した。

Research Products

• [Publications] S.Goto: "Noncommutative Monopole of the Second Order in θ"Physical Review D. 62. 085022 (2000)
• [Publications] H.Hata: "BRST Invariance of the Non-Perturbative Vacuum in Bosonic Open String Field Theory"Journal of High Energy Physics. 0009. 035 (2000)