2000 Fiscal Year Annual Research Report
クォーク模型による現実的ハイペロン-核子相互作用を用いたハイパー核の研究
Project/Area Number |
12640265
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 義和 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70199397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 通郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40234710)
鈴木 宜之 新潟大学, 理学部, 教授 (70018670)
今井 憲一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70025493)
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Keywords | クォーク模型 / ハイペロン核子相互作用 / ストレィンジネス / 共鳴群模型 |
Research Abstract |
本研究の研究目的は、有効中間子交換ポテンシャルをクォークレベルで導入した(3q)-(3q)共鳴群模型(RGM)を用いて、核力(NN)とハイペロン-核子(YN)相互作用、および、軽いハイパー核、ハイペロン物質等の包括的理解を得ることである。本初年度は、NNとYNの新しい模型fss2を用いた正確なエネルギー閾値とクーロン力を取り込んだparticle basisでの計算と、これによるΛp、Λn荷電対称性の破れの微視的分析、および、NN、YNのG-行列と一体スピン軌道力の再計算を行った。この模型は、従来のものに比べて、ベクトル中間子交換の効果も取り入れていること、およびスカラー中間子等の運動量依存項が入っている点が特徴的である。これにより、NNについては位相差解析との合いが大きく改善し、OBEPに匹敵する精度となった。YNの現存する実験データとの合いも改善した。通常核物質のG-行列計算の結果は、定性的にはこれまでの結果とほぼ同じであるが、Λハイペロンの一体スピン軌道力については、スカラー中間子からくるスピン軌道力の成分がかなり利いているため従来の模型ほど大きくhinderされない。また、クォーク積分交換核を直接用いたG-行列方程式の分析を行い、Pauli原理を損なうことなく実験の閾値や二体バリオン系の換算質量を正確に扱うことが可能となった。更に、完全なPauli禁止状態が存在するときのRGM kernelから導かれるcomplete off-shell T-matrixの不定性について議論し、三体Faddeev方程式で全波動関数の二体Pauli禁止状態に対する直交性(対直交条件)を課しておくとこの様な不定性はないということを明らかにした。つまり、対直交条件は、バリオン間相互作用としてクォーク積分交換核がバリオン多体問題で直接使えるための十分条件である。これにより、fss2を直接用いた軽いハイパー核の精密な構造計算が可能となった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 藤原義和(Y.Fujiwara): "Single-Particle Spin-Orbit Strengths of the Nucleon and Hyperons by SU_6 Quark-Model"Nuclear Physics. A674巻. 493-514 (2000)
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[Publications] 河野通郎(M.Kohno): "Hyperon Single-Particle Potentials Calculated from SU_6 Quark-Model Baryon-Baryon Interactions"Nuclear Physics. A674巻. 229-245 (2000)
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[Publications] 藤原義和(Y.Fujiwara): "Lippmann-Schwinger Resonating-Group Formalism for NN and YN Interactions in an SU_6 Quark Model"Progress Theoretical Physics. 103巻、4号. 755-794 (2000)
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[Publications] 根村英克(H.Nemura): "Study of Light Λ-and ΛΛ-Hypernuclei with the Stochastic Variational Method and Effective ΛN Potentials"Progress Theoretical Physics. 103巻、5号. 929-958 (2000)
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[Publications] 藤原義和(Y.Fujiwara): "G-Matrix Equation in the Quark-Model Resonating-Group Method for Baryon-Baryon Interaction"Progress Theoretical Physics. 104巻、5号. 1025-1040 (2000)