2000 Fiscal Year Annual Research Report
N^*(1535)及びΔ(1232)の電磁形状因子に関する研究
Project/Area Number |
12640273
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 透 大阪大学, 理学研究科・物理, 助教授 (10135650)
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Keywords | 核子共嗚 / 電子散乱 / パイ中間子発生反応 / デルタ共鳴 |
Research Abstract |
本年度はΔ共鳴領域におけるパイ中間子電子、光発生反応を通してγN→Δの電磁形状因子の研究を行なった。γN→Δ遷移は磁気的双極子(M1)、電気的4重極子(E2)及び縦波によるC2の3つの電磁形状因子により特徴づけられる。パイ中間子電子発生反応はM1、E2に加え新たにC2及びこれらの形状因子の運動量移行依存性の情報を与える。 1996年に我々が提唱したユニタリ変換の方法を用いて中間子光発生反応を中間子電子発生反応に拡張した中間子交換模型の定式化を行なった。最近のMainz,LEGSによる(γ,π)反応の偏極を含むデータの再解析を行ない模型を改良した。この模型を用いp(e,e′π^0)p反応についてJ-Labの実験に対応する4(GeV/c)^2の運動量移行領域まで調べた。その結果、γN→Δ形状因子においてパイ中間子雲は比較的小さい運動量移行領域での大きな役割を果たし運動量移行の増加につれ、バリオンのクォークコアの寄与が重要になるという描像が示された。また核子、Δの変形を表す、E2/M1、C2/M1比は高運動量移行領域でそれぞれ、-3%,-14%という値が得られた。特にE2/M1比はこの領域では摂動論的QCDの予言値1とはかけ離れた値であった。この研究の結果得られた断面積、E2/M1,C2/M1は最近報告され始めたさまざまな観測量、運動量移行領域の実験値と良く一致することが示されつつある。 研究の一部は海外共同研究者T.-S.H.Lee氏を大阪大学に招聘して行なわれ、またその成果は少数体系国際会議、国際研究集会NSTAR2000、N-STAR2001における招待講演で発表される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Sato: "Dynamical study of the △ excitatiou in Nle,e'π, Reactions"Physical Review. C (印刷中). (2001)
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[Publications] T.Sato: "Dynamical study of Δ and N* in π N and rN reactions"Nuclear Physics. A (印刷中). (2001)